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2008年11月

学生時代⑦お兄ちゃんと彼女

ある時、綾はお兄ちゃん=ジロちゃんに聞いた。

「彼女との出会いはどんなだったんですか?」

すると、ジロちゃんはまじめな顔をして話し始めた。

「あのな、小学校の時の同級生やってん。隣の席に座ってた。

 彼女は京都に引越したんやけど・・・・

 大学で再会したんよ。」

「へえ・・・ロマンティックですね」

「うそ」

でもジロちゃんはそれ以上は話してくれなかった。

綾はこの時ちょっとだけ嫉妬した。

ジロちゃんがいくら綾と楽しく、しゃべって、笑って、

いろんな話をしてくれても、それはバイト仲間だから。

本当に好きなのは彼女さん・・・・やから。

そんなことわかっているはずなのに。

でもジロちゃんには学内でやたらと会う。

もう顔を見たくない時でさえ・・・・。

会ってしまうのだった。

なんて狭い大学なんだろう・・・。

            ☆

ジロちゃんと彼女はとてもうまくいっているようだった。

しかし、大学の学食のテーブルで二人を見かけたとき、

綾は少し違和感を感じた。

二人で座っているのに、二人ともぜんぜん笑っていない。

ジロちゃんも、いつものジロちゃんではない。

怒ってる?

綾は横を通り過ぎただけだったので、

あまりよく見たわけではないが・・・・

会話もしていないようだった。

小学校で一緒だった女の子で

大学でばったり出会ったって冗談まで

言っていたのに・・・・・。

でも、綾には関係のないことだった。

それは二人の問題だから。

            ☆

だいぶ後になってわかったことだったけれど、

ジロちゃんは一人で大学からの推薦枠に合格して、

外国に留学することが決まったらしかった。

そんな話を彼女としていたのかもしれない。

おじさん虫がバイトのとき、わざと綾に言った。

「小谷くん、最近彼女とうまくいってないみたいやで・・・・」

綾は無言のまま、雑誌の片付けに行った。

おじさん虫が言うほどだから・・・・今は本当に

うまくいってないのかもしれない。

でも余計なことは考えまい。

心に決めたのだから・・・・。

             ☆

ジロちゃんとは長いこと付き合っていたい。

だから・・・人間として・・・・付き合おう。

異性としてではなく・・・・。

それもちょっと悲しいけどね。           

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学生時代⑥セクハラの嵐

綾は大学構内の本屋で一生懸命働いたが、

時には許せない出来事があった。

それは・・・・おじさん虫のセクハラである。

同じバイト仲間の人から「気をつけなよ」と

言ってもらったことがいくつかあった。

その中のひとつが、おじさん虫のセクハラだった。

もうひとつは・・・・

石川さんの(責任者・40代)からの「お尻タッチ」だった。

ある日のこと、おじさん虫と一緒にレジに入っていたときのこと。

「藤川さん、藤川さん・・・・こっち見て」と言われたので

そっちを見ると、おじさん虫が雑誌「プレイボーイ」の

グラビアページを広げて、綾に見せた。

「・・・・☆・☆/○・■」(裸。裸・・・M字開脚・・・いいのか?こんなん・・・・)

「イヒヒヒヒヒ・・・・」とこれまたいやらしい目つきで綾の嫌がる様子を

伺っている。

悔しい・・・・不意打ちを食らったので、しらんぷりできなかった。

女の人の裸位はどうってことないと思うけど・・・・不意打ちだったから。

たじろいでしまった。

女の人の裸の写真をわざわざ見せて、人の様子を喜んで見ている

おじさん虫に嫌気がさした。

でもここの本屋ではおじさん虫が一番の古株で

責任者の石川さんもあまり強くは言えないようだった。

「すまんけど、がまんして」と言われた・・・・。バイトの先輩に。

さわやかなお兄ちゃんにはそんなこと言えなかった。

            ☆

ある日は、また二人きりでレジに入っていた時のこと。

「藤川さん、僕の下宿に来て泊まってくれない?」

「・・・・はい?なんで私が。」

「なんにもせんから・・・・泊まっていって」

(はああ・・・?なんであんたの下宿に行くんだよーーーーっ)

「お人形みたいだから、ガラスケースに入れて眺めていたい」

「・・・・・・・・・・。」(おじさん虫の目が明らかにやらしい想像をし

 ている!!間違いない)

我慢、我慢、我慢・・・・。

おじさん虫は二浪した上に二留年しているらしかった。

そんなこと考える前に、ちゃんと大学の勉強しろってーーーの。

でも実はおじさん虫とお兄ちゃんは同じ学部で、

お兄ちゃんの彼女も同じ学部だということがわかった。

厳しいと評判の学部だった。

そうそうお兄ちゃんの名前・・・・小谷 次郎と言った。

バイト先では、小谷さんと呼んだ。

小谷さんとはたまにバイトのシフトが一緒になったが、

並んでレジに入ることは少なく、

綾に「レジに入っといて」と言い残して、

自分は裏に返品伝票を切りに行くのだった。

(私と一緒にレジに入るのは嫌なのかな・・・・)綾は思った。

             ☆

それでも、時々は英作文の宿題を見てくれたり、

いろんな話を聞かせてくれたりした。

たまたま綾の選択していた第二外国語が中国語だったので、

お兄ちゃんは中国語も見てくれたりした。

小谷さんは外国語が得意らしかった。

小谷さん、藤川さんと呼び合っていたのが、自然に

ジロちゃんと呼ばせてもらうようになった。

小谷さんが「ジロちゃんと呼んで」と冗談で言ったのがきっかけだった。

ジロちゃんも綾の前ではおどけて見せてくれたり、

たまには彼女の話が飛び出すこともあった。

おじさん虫には「藤川さん、小谷のことが気に入ってるんやろ?」

と言われた。

「でも、小谷は彼女おるで。一回生の時から付き合ってる

 彼女が・・・・」

「それは知ってます。それに、小谷さんのこと別に気に入ってるとか

 そんなん違いますし。」

おじさん虫は「そうか、そうか・・・」と言って、

またなんか二人でどこかへ行こうとか言っていた・・・・。

聞いてないし・・・・。

もう・・・・本当に・・・・・何とかしてえ・・・・・。

おじさん虫はとりあえず、バイトに入ってきた女子みんなに

アタックみたいなことをしてきたらしかった。

でもとにかく、みんなに断られ・・・・・

今は・・・・先輩の言葉を借りれば「女に飢えている・・・・」そうだ。

はあ・・・。

セクハラの嵐。

でも我慢。我慢・・・・。

そして、たまらん香水の香り。

それも・・・・・くさいーーーー。

香水、きつい・・・・。

安物の香水・・・・・。くさすぎる・・・・・。

そして、大学院の美人のお姉さんを見ると

必ず、こういうのだった・・・・。

「あの人けばいやろ・・・。やりまくってるで。」

最初は何を言ってるのかよくわからなかったが・・・・

とにかくおじさん虫はそっちの方に話を向けたいのね。

相手が聞いていようがいまいが、嫌がっていようが

関係なく・・・・自分が言いたいように言うのね。

            ☆

学生時代は、ハザマのような時代で、

大人の人は大人。

子供の人は子供。

ある日、恋愛経験してしまう人もいるし、

ずっとまじめに勉強一筋の人もいる。

それはそれで、人の自由だ。

でも、人に迷惑をかけるな!!!!

おじさん虫・・・・・いいかげん、セクハラに気づけ!!

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学生時代⑤9月に・・・

夏休みの間に、綾は「大人」になった。

夏休みに二十歳の誕生日を迎えた・・・・。

               ☆

大学の夏休みは長い・・・。

後期が始まったのは10月だった。

綾は友達のふうちゃんが勧めてくれた通り、

大学の書籍部でバイトをしようと思った。

まだバイト募集の張り紙がしてあった・・・・。

その日、書籍部には年上のめがねをかけた・・・

オジサン虫のような人がいた。

「あのう・・・・」

「はい?」

「バイト募集の紙を見たんですけど・・・。

 面接受けられますか?」

オジサン虫はちょっとびっくりしたような顔で

「ちょっとお待ちください」

と言うと、奥の事務所に駆け込んだ。

奥では40過ぎくらいのこれまためがねをかけたおじさまがいた。

このおじさまがここの責任者らしかった。綾は事務所に通された。

おじさまは綾の顔をじーーっと見た。

そして上から下までなんとなく・・・(綾はそう感じたのであるが)

じろじろと見ていた。

「採用!」

「え?????」・・・・即決ですか。

(もっと質問とか、なんか条件とか・・・ないんですか?)

バイトのオジサン虫は

「石川さん、見かけで選んだんですか?いやらしい・・・・」と

自分こそ、責任者のおじさまに向かって

やらしそうに言った。

綾はお兄ちゃんに会えるかもしれないという淡い期待のほうが

大きかったので、オジサン虫の

やらしそうな目にはこの時まだ気付いて

いなかった。

           ☆

綾は責任者の石川さんから少しバイトの内容についての

説明を受けて、時給もこのとき初めて知った。

驚愕の安い時給だった。

お兄ちゃんもこの時給でやってるのね・・・・。

綾は心の中でそう思った。

「とりあえず、明日から来てくれる?」

石川さんは言った。

「はい」綾はぺこりとお辞儀をすると、本屋を後にした。

そして、ふうちゃんにバイトが決まったことを報告した。

               ☆

次の日・・・・。

夕方、バイトにお兄ちゃんが来た。

お兄ちゃんは本屋にいる綾を見て、

少しびっくりして、それからすぐに笑顔で、

「今日から仲間やね。よろしくね」と言った。

初めてお兄ちゃんと言葉を交わした瞬間だった。

「よろしくお願いします。藤川 綾です」

綾が挨拶すると、お兄ちゃんは

「本の注文に来てるでしょう?名前は知ってるよ」と言った。

嬉しかった・・・・。

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学生時代④雨の日に・・・・

綾には遠距離恋愛で自然消滅みたいになった同い年の彼がいた。

その彼と久しぶりに電話がつながって・・・・

「夏休みに遊びにおいで。かわいがってあげる」と言われていた・・・・・。

かわいがってあげる・・・?

普通は行かんやろ。でも若気の至りよね・・・。

               ☆

大学で英検の申し込みをすることになった。

大学の構内はかなり広かったので、本屋までは遠かった。

その日綾は申し込みの用意をしていた。

午後、本屋に向かう途中で

急に雨が降り出した。

綾は、傘を持っていなかった・・・・。

白いブラウスは濡れてしまった・・・・。

長い髪の毛は濡れていた。

綾はそのままの格好で本屋に走った。

               ☆

夕方だったせいか、雨のせいか。

本屋ではお兄ちゃんが一人でバイトをしていた。

綾の濡れた格好を見て、一瞬ぎょっとしたみたいだった・・・・。

「あのう・・・英検の申し込みをお願いします」

「・・・・はい。じゃあこの紙に必要なことを記入してください」

めっちゃ冷静に見える。

びしょぬれで来て、怒ってないよね・・・。

でも英検の申し込み今日が最後やし・・・・。

多分、夏休み前でお兄ちゃんに会えるのはもう最後やし。

英検の申し込みをして、綾は本屋を後にした・・・。

本当はお兄ちゃんに「大丈夫?」と

一言、言って欲しかった。

お兄ちゃんは、綾の姿をほんの少し、びっくりして

見たように見えた。

(お兄ちゃん・・・・・前期、楽しかったです。

 あなたがこの大学にいてくれたから・・・・。

 彼女さんいても・・・。

 顔見えるだけで・・・よかった。

 この夏休みに・・・私多分、彼のところに行って来ます。

 初めて・・・多分・・・・・初めて・・・・・。

 だから、今の私は今日で最後です。)

            ☆

綾は本屋の裏にあるトイレに向かった。

鏡に映る自分の姿を見て・・・・・驚いた。

この白いブラウス・・・・めっちゃ透けてる・・・・。

つくづく、自分ってアホやなあ・・・・。

お兄ちゃんの前で、こんな姿で・・・・英検の申し込み行くなんて。

ほんまにアホやわ。

軽蔑されてるね。きっと・・・・。

               ☆

雨の日に、突然英検を申し込みに来た

濡れたブラウスから、

ブラが透けてる・・・・女の子・・・・・。

もう、嫌・・・・。

              ☆

しばらくして、服を乾かして・・・・

ふうちゃんに学内で会った。

ふうちゃんは綾に言った。

「綾ちゃん、書籍部もバイト募集してるやん・・・・。

 そこでバイトしたらいいやん・・・。」

「えっ?」

ふうちゃんにそう言われて、なんか驚いた。

でも、今まで考えてもみなかったけど・・・・。

書籍部でバイト?

私が・・・・・?

頭を冷やして、家で考えることにした。

「ふうちゃん、一緒に帰ろ・・・・」

(そういえば、ふうちゃんも西城陽高校の出身で、

 私の従兄弟と同じ学年だった。

 私の従兄弟のことも知っていた・・・・。

 全然、どうでもいいことなんやけど。

 駿台でも面識はなかったけど、同じ私大文系のクラスにいた

 そうで。ものすごい偶然だなと思った。)

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学生時代③彼女

「綾ちゃん、今日本屋のお兄ちゃん見たよ。カフェで・・・」

友達のふうちゃんが教えてくれた。なんでも兄ちゃんはカフェで

ホットサンドのチーズを食べていたそうだ。

綾は午後にカフェに行った。

お兄ちゃんと同じ、チーズのホットサンドを注文してみたが・・・・。

胸焼けがした。

チーズの油がちょっと濃かったのだ・・・・。

「ふう・・・苦しい・・・」ちょっと裏にあるトイレに行こうとした時だった。

白いテーブルセットに腰掛けているお兄ちゃんがいた。

女の人と一緒だった。

(あの人・・・・見たことある・・・・。)

それは教科書販売を手伝っていた・・・・女の人だった。

ああ、レベッカのnokkoみたいな感じで・・・華奢で可愛い。

綾はため息が出てしまった。

自分とは全くタイプが違う女の人だったからである。

(お兄ちゃんの彼女かあ。まあ彼女がいても当たり前やなあ)

               ☆

綾は1つ、心の決めていることがある・・・・。

笑わないで聞いて欲しい・・・。

彼女のいる人には手は出さないこと。

奥さんのいる人にも・・・・。

そう、だから谷さんとの恋愛は成立しないのである。

なぜ、そう決めているか?

それは、ただなんとなく・・・・。

もしかして、人を本当に好きになったらそんなこと関係ないって

思うかもしれない・・・。

けれど、因果応報・・・もしも自分の身に帰ってきたら怖いから?

もしかしたら、臆病なだけかもしれない。

それでも、やはり彼女のいる人には、手は出さない。

ただ、本屋に行って今まで通りに、本を買うだけならいいでしょう?

               

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学生時代②苦しい時期

綾は大学での成績はまずまずで、奨学金も返還不要で、

少しの金額を補助してもらえることになった。私立大学の学費は高い。

京都の伯母のできるだけ負担はかけたくなかった。

綾は時々大学構内の本屋に行った。

密かに少年のような「兄ちゃん」の顔を見るのが楽しみであった。

何度か通ううちに、「お兄ちゃん」のバイトの日と

そうでない日がわかった。

お兄ちゃんのいない日は、なんと・・・・

かなり年上のおじさんみたいな人が働いていた。

ほかには、顔の濃い明らかに南洋系の外国人みたいな人もいた。

昼間はお兄ちゃんはいなかった。

            ☆

一方、家では伯母に叱られる日が続いた。

綾のバイトが忙しすぎて、朝から晩まで家にいないため、

何の役にも立たないと叱られたのである。

そのころストレスが知らず知らずのうちに、限界になり

ふとしたことから、綾は右耳の聴力を失ってしまった。

京都の国立病院や、第二日赤も紹介されたが、

やはり聴力は戻らなかった。

綾・・・19歳。          

ついに紳士服の販売のバイトを止めなくてはならなくなった。

相変わらず、綾は大学の本屋に通い、

お兄ちゃんに文庫本のカバーをつけてもらうのが

楽しみだった。

いつもさわやかだった・・・・。

            ☆

綾はお土産や時代に思ったが

どうも寂しそうな顔の男性に惹かれる傾向があったようである。

お兄ちゃんはなんとなく、寂しそうな目をしているように見えた・・・・。

「いらっしゃいませ」

「ありがとうございました」

お兄ちゃんから発せられる言葉は打他それだけだった。

それでも綾はお兄ちゃんの顔が見えるだけでその日

楽しい気持ちになれた。

            

 

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早死にプリン

今、電車に乗っています。京都という街は時々懐かしくて寂しくて。
そしてものすごくインスピレーションを
与えてくれます。
今日は京都に法事に来て
たくさんの人に会ったけど
みんな年はとってたな。
やっぱ十年は人を変える。
そんな中、悪魔が私に囁きました。
帰りに京都市内を市バスで走っていた時に…。
高校生の時にお世話になったあるおばさん…。
今は腰が曲がっておばあちゃんになっていた。
いつも私ったら
皆さんに手土産のひとつも買って行った事が
なかった。
みんながそういう空気出してるから
そういう事はしないで
いいのかと…。
いやいやそんな事はない。
何かお菓子でも買って帰ったら
きっと喜んでくれるはず。
女性なら何が嬉しい?
お菓子…。
ケーキ?
あ、プリン!
甘くて、小さいプリンならお年を召してらしても
きっと喜んで
下さるはず。
口あたりもいいでしょう?
でも…美味しいプリンには用心した方がよさそう。
今は亡き祖母がいつも私に言っていた。
「こんなに美味しいもの今まで食べた事ない」

こんなに美味しいもの食べたらもういつ死んでもいい…と。

それはきっと冗談だったに違いない。
実際亡くなるまでは。

ああ、お腹空いた。

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学生時代①お兄ちゃんを初めて見た日

大学ってこんなところなのかと思った。

綾のクラスは男女半々。

入学そうそうコンパが開かれたけど・・・つまらなかった。

ほんと、みんな狙ってる子が見え見えで。

もっとほかに大事なことあるでしょう?って感じ。

綾は紳士服の販売のバイトを春休みから始めた。

これがかなりハードな生活で、両立は無理になってきていた。

             ☆

教科書販売のある日。

その日は雨だった。

本屋のレジを打っていたお兄さんがいた。

あーーーー・・・可愛い。

そう、この日、大学に入学して以来、初めてうれしい気持ちになった綾だった。

お兄さんはめっちゃ普通にレジを打って、

笑顔でおつりをくれて、

普通に仕事をこなしていた・・・だけだった。

ああ、なんかいいなあ。

子犬みたいな人だなあ。

まるで少年。

17,8歳にしか見えない。

          ☆

でも本当につまらない学生生活に小さな光を見た瞬間だった。

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学生時代編を書きます

まだ書き出せてないけど、ここからは学生時代に入ります。

綾は翌年、とある大学に入学します。

ここは男女共学。

そして、今までの綾とはまた別の綾になっていきます。

ついに大人になるときがやってきました・・・・。

初体験はあまりにつまらないので、

それは書きません。

ああ、あれほど谷さんに大事にしてもらった綾なのに。

若気の至りでしょうか・・・。

ついに、人生初、悪い男に出会うときがやってきました。

というわけで、次回より「学生時代」お楽しみに!!

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お土産や編・ほんまに最終回

今まで色々小説の中で遊ばせてもらいましたが、これがほんまに最終回です。

ではでは・・・みなさん、本当に最後まで綾のお土産や編を読んでくださって

ありがとうございました。

               ☆

綾がお土産やをやめて、二条城近くの駿台予備校に後期から編入したとある日・・・。

お土産やで同い年の社員の三木さんからご飯に誘われた。

「綾ちゃん、明日の夜会える?明日の夜、ごはんでもどう?」

「うん!!」

               ☆

翌日。三木さんはもう四条大橋のたもとに着いていた。

お土産やのバイトでは毎日通っていた道・・・・。

「綾ちゃん!!」三木さんは相変わらずちょっと派手目で綺麗な洋服を着ているので

目立つ。

「あ、三木さんーーー久しぶりーーーー」

「じゃあ、行こっか。サンマルコでいい?」

「いい。いい。大好きよーー。」

二人でおしゃべりしながら、四条通を少し歩いて、

サンマルコに向かった。

サンマルコというのは、若者に人気のあるイタリア料理の店だった。

綾はこの店の外国っぽい雰囲気が好きだった。

店の中も明る過ぎず、暗すぎず・・・・。程よい照明で、

それでいて、カジュアルな感じの店だった。

二人は人が一人やっと通れるくらいの階段を上って

店に入った。

カラン、コロンとカウベルのようなベルがドアにつけてあるのが鳴った。

二人は白い壁の店内を入り、窓際の席に座った。

窓は白いペンキ塗りの木枠で、

綾はこのレトロ感も大好きなのであった。

注文し終わり、グラスの水を少し飲んだところで

三木さんはカバンから何かを取り出した・・・

「綾ちゃん、これ先に渡しとくね」

「なに・・・?」

「こないだ、社員旅行があってね・・・そのときのお土産」

「ありがとう・・・・」

「開けてみて!」

「・・・・あ、お守り?」

「そう・・・。もうな、サイアクやねん・・・。みんなべろんべろんで。

 気いつけや・・とは言われてたんやけど、もうオジサンたち

 お尻触るわ・・肩くむわ・・・・ひどかったわあ。」

「えぇーーーイマドキそんな社員旅行があるのん?」

(谷さんは・・・?谷さんもそんなことしはるん・・・)心の中でちょっと気になった。

でも何も知らない三木さんには聞けなかった。

「そうそう・・・・谷さんな・・・」

「えっ?」一瞬、どきんとした。

「谷さんはほとんど酔うてはらへんかったわ。少しは飲んではったみたいやけど。

 いつもどおりかなあ。」

「ふうん・・・・」

「あの、大卒の新人の詫間さんと話したはってん・・・・」

「うん・・・・」

「今年は、ほんまにびっくりした年やったわ・・って。

 こんな年になって事件が起きたりするんやなって」

「事件?」

「うん、それで、詫間さんが事件って何ですかって聞かはったんよ。

 そしたら、谷さんは笑って・・・さくらんぼちゃんがな・・・って言ったの」

綾は急に三木さんの話をさえぎった。

「谷さんがさくらんぼって言わはったん?」

「うん、たしか「さくらんぼちゃん」だったと思うよ。

 そこで詫間さんがさくらんぼちゃんって誰なんですか・・・って

 かなりひつこく聞いてたみたいやけど、

 谷さんはそれ以上は何も話してくれなかったんやって。

 詫間さん、逆に自分の彼女の話になちゃったって・・・・

 後ですごく悔しがってたわあ・・・。」

三木さんはふふふ・・・と楽しそうに笑った。

「ふうん・・・・そうなんや」

三木さんは運ばれてきたサラダを食べている。

「あ・・・☆」

(さくらんぼ・・・・さくらんぼ・・・・さくらんぼのブラ????)

「綾ちゃん、どうしたん?急に大きな声出して・・・」

「ううん・・なんでもない。さあ、食べて、食べて」

(さくらんぼはあの祇園でブラウスのボタンが取れたときの・・・

 見えてたんよね。やっぱり・・・。まああんだけ派手にボタンが取れたら、

 見ようとしなくても見えるよね・・・・)

もしも、谷さんのこと、三木さんに話したらなんて言うのかな。

減るもんでもなし・・・やっちゃえば良かったのに・・・とか・・・・言いそう。言いそう。

「綾ちゃん、なに考えてるの?なんかぼーーっとしてるよ」

「あはは・・・なんでもない。」

「ああ、それからさ、さっきのお守り。

 あれ、私が買おうとしてたら、谷さんが来て、

 藤川さんにか?って聞かれたから、はい・・・って言ったら、

 じゃあ僕にも半分出さして・・・って出してくれたの。 

 半分は谷さんからだから。

 勉強頑張ってね!!」

              ☆

食事をし終わって、いろいろしゃべって、綾は三木さんと別れた。

三木さんは烏丸の方向に向かった。

三木さんは最後に

「綾ちゃん・・・バイバーーーイ。合格してよーーー」と叫んだ。

「よしっ」あやはガッツポーズをして見せた。

二人はそれぞれの方向に消えていった。

                     終わり

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お土産や編・ピンク

綾は意を決して下着を取ると、谷さんのいるバスルームにそっと入った。

ふわふわと立ち上る湯気で、視界ははっきりしなかった。

「あや・・・こっちへおいで」

谷さんは優しく声をかけてくれた。

谷さんは綾に背中を向けている。

綾は少しの間考えて、いつもしているように自分の体の部分を

まず洗ってから、湯船に入った。

谷さんはやっと振り向いた。

僕も入るよ。

谷さんは湯船に入ってきた。

もう多分、体も髪の毛も洗い終わったのだろう・・・

髪の毛は濡れていたから。

谷さんは綾の体の方は見ないようにしていた。

「大丈夫・・・・大丈夫・・・・。さあ、ゆっくり入って・・・」

               ☆

綾は湯船から出ると、体をこれまたいつもしているように

洗った。

綾は足から上へ上へと洗うのだった・・・。

「背中、洗おうか」

谷さんが湯船から出てきて言った。

谷さんは戸惑っている綾の手からスポンジを取ると

綾の背中を洗い出した。

くすぐったい・・・・。綾は少し体をくねらせた。

よく子どもがくすぐられた時にするように。

(人に背中を洗ってもらうことなんてないもの・・・)

谷さんは何も言わない。

ただ黙々と洗ってくれている。

今、いったい何を思っているの?

今度は手桶でお湯をかけてくれた。

気持ちいい。

                ☆

「谷さんの背中も洗わせてください」

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・お願いしようかな」

お互いに目は合わせない・・・・って言うか、合わせられない、

綾もまた谷さんの裸は見ないようにしていた。

谷さんは椅子に座った。

綾は丁寧に洗い始めた。

石鹸をつけて、肩から順に・・・・・

きっとぎこちなかったと思うのに、谷さんは

「気持ちいいわ・・・・」と言った。

背中を洗い終わった・・・・お湯流してちょっとすると

「ありがとう・・・ゆっくり入りや」と言って

谷さんは先にバスルームを出た。

谷さんは綾に気を遣ったのだろう・・・・。

ただ、谷さんはいつもより素っ気ないような気がした。

綾もお風呂から出た。

            ☆

谷さんは浴衣を着て、ソファに座っていた。

二人分のお茶が用意してある。

綾は髪の毛を乾かしてから出てきたので、

谷さんはだいぶ待ってくれたはずである。

綾も浴衣を着て、ソファの前に来た。

「そこに座って・・・・」谷さんは言った。

この時、お風呂以来初めて目が合った・・・・。

谷さんは穏やかな目をしていた。

「あや・・・・・僕の話を落ち着いて聞いて欲しい」

綾はうなずいた・・・。

お風呂から上がったばかりで、かなり体が熱い・・・・。

「綾・・・・今日は何もせんとこう。ただ一緒に休もう・・・・それが一番いいと思う」

「谷さん・・・・」

「あのな、初めてって・・・・何ていうか、すごく大事なことやろ。

 それはわかるやろ。男と女は体も違うし・・・感じ方も違う。

 女の人は感情から入っていくと思うねん・・・・。

 でも男は性欲の方が勝つこともある・・。うーーーん、難しいな。

 たとえば、君に付き合ってる人がいたとする・・・・。

 その人が体を求めてきたら、君はそれを許すかもしれない。

 でも、女の人は彼のことが好きやから、許すんや。

 別にそんなことしたいわけやない・・・。

 特に、初めての時はそうや。多分・・・・。

 無理にそんなこと、せんでもええやろ?

 もっと、大切なことはたくさんあるはずやし、

 綾にはもっと自分を大切にして欲しい・・・」

「谷さんは・・・谷さんは・・・・したくないんですか?」

「ううーん、それは究極の質問やなあ・・・・。なんて答えたらええやろうなあ。

 僕も普通の男やしなあ。でも、綾には大切にして欲しいし・・・。

 若い頃なら迷わず、したやろうなあ・・・正直。

 でも、今はなあ・・・・お猿さんとは違うしなあ・・・」

「お猿さん?お猿さんって何ですか?」

「ん?お猿さん・・・・いや、昔の連れがよう言うとったんや。

 自分はお猿さんやって。お猿さんは自分の性欲には素直やろ?」

谷さんは初めて楽しそうに笑った。

綾も笑った。

お猿さんって・・・いったい・・・・。そうなの?

                ☆

それから、たくさんたくさん谷さんの話を聞いて、

綾の話をして一緒にベッドで休んだ。

谷さんはベッドに横になったとき、

綾にくちづけした・・・・・。

それは最後のくちづけかもしれない・・・・。

大人の・・・・多分、少し大人のくちづけだった。

谷さんは、少しほんの少し、苦しそうな顔をした。

「綾の体は本当に、ピンクなんやなあ・・・・

 可愛いなあ・・・・。

 綺麗やなあ・・・・。やっぱ、これ以上はあかんわ。

 無理・・・」

そう言って・・・体を離した。谷さんは少年のような顔をしていた。

谷さん、ごめんね。

そして、ありがとう・・・。

今まで本当にありがとうございます。

私を大切にしてくれて。

たくさん、いろんなこと教えてくれて。

谷さんに出会えたこと・・・本当に感謝します。

谷さんが谷さんで本当によかった。

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