グレープシードオイル ⑭関空 (上)
水曜日はあっという間にやって来た。
私はだんなの休みをいい事に、
長年の大事な友達・・・真由がハワイに行っちゃうからと
子どもの幼稚園の送り迎えも頼んで、
一人でさっさと出かけた。
私が京都駅から「はるか」に乗って、関空に着いた時、
真由は先に着いていた。
真由とは国際線のゲートBの前で待ち合わせをしていた。
真由の彼は東京からの国内線で来るので
まだ30分ほど時間があるのだと聞いた。
私たちは、椅子が並んでいるところに
腰をかけた。
さすがに、真由の荷物は多かった。
私は自動販売機で紙コップのカフェオレを2つ買うと、
一つ真由に渡した。
「あーーありがとう。喉渇いてた・・・。」
「うん。」
「あ・・・あのさあ、綾・・・・・・ずっと気になってて言い出せなかったんだけどね。」
真由は変な間で少し言いにくそうに切り出した。
「なに?」
「・・・綾でしょ?
お兄ちゃんが知ってた・・・女の子って。」
「ん?」
「あのね・・・こないだ思い出したんだ。
お兄ちゃんが事故に遭うちょっと前に言ってた・・・・。
{フットベースボールの試合で
女の子と知り合ったって。
お前と同い年だ。
また一緒に遊ぼうな・・・・。}って。
私が嫌だ・・・って言ったら、その子優しいから
お前もきっと好きになるよ・・・って。
お兄ちゃんね、そう言ったの。
私ね・・・ずっと考えてたの。
あれってもしかして綾のことなんじゃないかって。
中学ん時、一緒に買い物行ったことあったでしょう?
あの時、綾に初めてお兄ちゃんが事故に遭って・・・・
植物状態で病院にいるって話したんだよね。
綾、あの時お店から急にいなくなったんだよ。
消えたみたいに。」
私は真由になんと答えればいいのかわからず、
うつむいてロビーの床の模様を眺めていた。
お店から急に姿を消したのは、真由の方だと
私の記憶ではそうなっていた・・・・。
「消えた?」
「そうだよ・・・。」
実はその時のことはよく思い出せない。
ただ、気が付くと・・・雨の中を自分は
誰かの姿を探して・・・必死に歩いていた。
わたしが探していたのは真由ではなかったのか?
真由だろ?
真由じゃなかったら、誰?
ねえ、誰だよ?
「あれから、様子が少し変だなと思ってたの。
でも、お兄ちゃんと結びつけて考えたことなかった。
おかしいよね。
あの頃、みんなフットやってて・・・綾だって西小で
やってたに決まってるのにね。」
「うん・・・・。・・・・うん。」
「綾・・・ごめんね。気づかなくて。」
「いいの・・・。」私は首を振った。
「あのね、
こんなこと言うのは、恥ずかしいんだけど、今日は言うね。
ずっと心配してくれて、ありがとう。
お母さんから頼まれたって、お母さんみたいに・・・
優しくしてくれて、ありがとう。
いっつも綾に甘えてた。
あのね、お兄ちゃん言ってたんだ・・。
お前もきっと好きになるよって言われたから
お兄ちゃんはその子のこと、好きなん?って
聞いたら・・・・うんって。
大人になったら結婚したいくらい好き・・・だって。」
真由はこっちを見て微笑んだ。
真由の瞳にいつものいたずらっぽさは無い。
「あの、照れ屋で有名なお兄ちゃんが
そう言って・・・・逃げて行ったのよ・・・。
でも・・・その後、色々なことがいっぺんに
起こって・・・・。
その事も忘れてた。
前にも言ったけど、神戸の(母方)のおばあちゃんは
一度お祓いしてもらえって、
真剣に言ってたくらい。
うちの家族は不幸だった。」
「そんなことない。不幸じゃないよ。」
「そうかな。」
私も真由の顔を見て、笑った。
「それで・・・行彦くんのことに話を戻すけど。
なんで私って思ったん?」
「うーーん・・・・そりゃあ、なんかね、綾のこと・・・・
荷物の整理をしながらいろんなこと思い出してた。
綾が色々してくれたこと、 思い出してて。
もしかして・・・って。」
絡まっていた遠い記憶の糸と、糸が解けて
ピンと一つに張って、つながった時の驚きを
真由は語った。
「そっか。・・・・・私ね、行彦くんのこと・・・
ずっとずっと・・・想ってたよ。これからも、ずっとずっと忘れないよ。」
「綾・・・ありがとう。
やっぱ綾のこと、ダイスキだよ。
キスしていい?」
(ちょ、ちょっと・・・・・真由?こんなところで・・・・やめて~
人が見てる。)
ちょうどその時、向こうから中年の男性がまっすぐこっちに向かって
歩いてくるのが見えた。
☆
☆
☆
作者より;今日たまたま偶然から、
斜線とか、太字とか、取り消し線の
使い方を知ってしまいました。
今までの私のブログ人生はなんて
味気のないものだったんでしょう?
スパイスは無かったわけですね。
まあ、無くても生きてはいけるけど・・・。
あったら美味しいっていうくらいんのもの?
例えば、ラーメンのねぎ?違う、違う・・・
ラーメンにねぎは絶対にはずせないよ~。
という事で、今回の斜線部は
悪魔の語り?のようになっております。
今まで「ただのいい人」だった綾の心に
悪魔が宿ったのか?
そうかも・・・・。
遊んでる?
そうかも・・・・。
斜線って、なんか怖くて面白いんだもん。
これからは悪魔の登場に使わせてもらおう・・・
って・・・悪魔登場って・・・うちのキャラじゃなかったよね。
でも、そろそろ綾をちょっと壊してもいいかなと
思い始めました。
それが斜線の使い方を知ったのがきっかけでも
まあそれはそれでいいんじゃないかと・・・。
春だし・・・。
多少おかしくても・・・。
だからそれはあかんって!!
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