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2009年3月

グレープシードオイル ⑭関空 (上)

水曜日はあっという間にやって来た。

私はだんなの休みをいい事に、

長年の大事な友達・・・真由がハワイに行っちゃうからと

子どもの幼稚園の送り迎えも頼んで、

一人でさっさと出かけた。

私が京都駅から「はるか」に乗って、関空に着いた時、

真由は先に着いていた。

真由とは国際線のゲートBの前で待ち合わせをしていた。

真由の彼は東京からの国内線で来るので

まだ30分ほど時間があるのだと聞いた。

私たちは、椅子が並んでいるところに

腰をかけた。

さすがに、真由の荷物は多かった。

私は自動販売機で紙コップのカフェオレを2つ買うと、

一つ真由に渡した。

「あーーありがとう。喉渇いてた・・・。」

「うん。」

「あ・・・あのさあ、綾・・・・・・ずっと気になってて言い出せなかったんだけどね。」

真由は変な間で少し言いにくそうに切り出した。

「なに?」

「・・・綾でしょ?

 お兄ちゃんが知ってた・・・女の子って。」

「ん?」

「あのね・・・こないだ思い出したんだ。

 お兄ちゃんが事故に遭うちょっと前に言ってた・・・・。

 {フットベースボールの試合で

 女の子と知り合ったって。

 お前と同い年だ。

 また一緒に遊ぼうな・・・・。}って。

 私が嫌だ・・・って言ったら、その子優しいから

 お前もきっと好きになるよ・・・って。

 お兄ちゃんね、そう言ったの。 

 私ね・・・ずっと考えてたの。

 あれってもしかして綾のことなんじゃないかって

 中学ん時、一緒に買い物行ったことあったでしょう?

 あの時、綾に初めてお兄ちゃんが事故に遭って・・・・

 植物状態で病院にいるって話したんだよね。

 綾、あの時お店から急にいなくなったんだよ。

 消えたみたいに。

私は真由になんと答えればいいのかわからず、

うつむいてロビーの床の模様を眺めていた。

お店から急に姿を消したのは、真由の方だと

私の記憶ではそうなっていた・・・・。

「消えた?」

「そうだよ・・・。」

実はその時のことはよく思い出せない。

ただ、気が付くと・・・雨の中を自分は

誰かの姿を探して・・・必死に歩いていた。

わたしが探していたのは真由ではなかったのか?

真由だろ?

真由じゃなかったら、誰?

ねえ、誰だよ?

「あれから、様子が少し変だなと思ってたの。

 でも、お兄ちゃんと結びつけて考えたことなかった。

 おかしいよね。

 あの頃、みんなフットやってて・・・綾だって西小で

 やってたに決まってるのにね。」 

「うん・・・・。・・・・うん。」

「綾・・・ごめんね。気づかなくて。」

「いいの・・・。」私は首を振った。

「あのね、

 こんなこと言うのは、恥ずかしいんだけど、今日は言うね。

 ずっと心配してくれて、ありがとう。

 お母さんから頼まれたって、お母さんみたいに・・・

 優しくしてくれて、ありがとう。

 いっつも綾に甘えてた。

 あのね、お兄ちゃん言ってたんだ・・。

 お前もきっと好きになるよって言われたから

 お兄ちゃんはその子のこと、好きなん?って

 聞いたら・・・・うんって。

 大人になったら結婚したいくらい好き・・・だって。」

真由はこっちを見て微笑んだ。

真由の瞳にいつものいたずらっぽさは無い。

「あの、照れ屋で有名なお兄ちゃんが

 そう言って・・・・逃げて行ったのよ・・・。

 でも・・・その後、色々なことがいっぺんに

 起こって・・・・。

 その事も忘れてた。

 前にも言ったけど、神戸の(母方)のおばあちゃんは

 一度お祓いしてもらえって、

 真剣に言ってたくらい。

 うちの家族は不幸だった。」

「そんなことない。不幸じゃないよ。」

「そうかな。」

私も真由の顔を見て、笑った。

「それで・・・行彦くんのことに話を戻すけど。

 なんで私って思ったん?」

「うーーん・・・・そりゃあ、なんかね、綾のこと・・・・

 荷物の整理をしながらいろんなこと思い出してた。

 綾が色々してくれたこと、 思い出してて。

 もしかして・・・って。」

絡まっていた遠い記憶の糸と、糸が解けて

ピンと一つに張って、つながった時の驚きを

真由は語った。

「そっか。・・・・・私ね、行彦くんのこと・・・

 ずっとずっと・・・想ってたよ。これからも、ずっとずっと忘れないよ。」

「綾・・・ありがとう。

 やっぱ綾のこと、ダイスキだよ。     

 キスしていい?」

(ちょ、ちょっと・・・・・真由?こんなところで・・・・やめて~

 人が見てる。)

ちょうどその時、向こうから中年の男性がまっすぐこっちに向かって

歩いてくるのが見えた。

              ☆   

              ☆ 

              ☆

作者より;今日たまたま偶然から、

斜線とか、太字とか、取り消し線の

使い方を知ってしまいました。

今までの私のブログ人生はなんて

味気のないものだったんでしょう?

スパイスは無かったわけですね。

まあ、無くても生きてはいけるけど・・・。

あったら美味しいっていうくらいんのもの?

例えば、ラーメンのねぎ?違う、違う・・・

ラーメンにねぎは絶対にはずせないよ~。

という事で、今回の斜線部

悪魔の語り?のようになっております。

今まで「ただのいい人」だった綾の心に

悪魔が宿ったのか?

そうかも・・・・。

遊んでる?

そうかも・・・・。

斜線って、なんか怖くて面白いんだもん。

これからは悪魔の登場に使わせてもらおう・・・

って・・・悪魔登場って・・・うちのキャラじゃなかったよね。

でも、そろそろ綾をちょっと壊してもいいかなと

思い始めました。

それが斜線の使い方を知ったのがきっかけでも

まあそれはそれでいいんじゃないかと・・・。

春だし・・・。

多少おかしくても・・・。

だからそれはあかんって!!

 

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川
小学生なら
川の近くで遊ぶのは
楽しいに違いない…

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グレープシードオイル ⑬白いネグリジェあげるね

再び現在。大阪の真由のマンション。

ベッドの上から立ち上がった私は

真由にダメ元でお願いしてみた。

「真由、お兄ちゃんの写真、もし他にもあったら

 見せてもらえん?」

「ん?お兄ちゃんの写真?・・・あるよ。荷物片付けてたら

 押し入れの奥にあったわ。」

真由は私の唐突な申し出を不思議そうに思いながらも

古い小さなアルバムを見せてくれた。

そこには数え切れないほどの・・・・行彦くんがいた。

でも全ては小学4年生までの写真だった。

「19年・・・・19年もお兄ちゃんはベッドで眠っていたの。」

「19年・・・・。長すぎるよね。」

「お兄ちゃんはお母さんが死んだこともきっと知らなかったよね。」

「そんなことない。そんなことないよ。・・・お兄ちゃんはきっと

 わかってたよ。心で感じてた。」

真由のお母さんは身を粉にしてずっとずっと働いて来た人だった。

きっと無理をしていたに違いない。

体に異変を感じて病院に行った時は、もう「がん」が転移していて

手がつけられない状態だったと聞いた。

看護士の真由は仕事を一時、休職して

自宅でお母さんを最期まで看る覚悟を決めた・・・。

そんな真由はすごい。

こんな時にすごいっていう平凡な言葉しか浮かばない自分が

情けない。

「あや・・・綾?泣いてるの?」

「へ?」

あ、いけない。涙が・・・・。

止められない。

真由はそんな私に言った。

「あの、綾・・・私ちょっとの間ここ留守にするでしょ。

 もし良かったらたまにでいいから空気の入れ替えしに

 来てもらえないかな。

 すごく助かるんだけどな。」

少し泣いて落ち着いた。

「ん・・・。わかった。・・・・真由は本当にハワイに行くんだ。」

「そうだよ・・・。まあ、長くて半年かな。」

「半年も?」

「うん・・・。トラベラーズチェックも無事に銀行で替えてきたし・・・。」

真由は笑った。

私はカバンの中から真由に作ったプレゼントを渡した。

それは白いレースのついたネグリジェだった。

いかにも真由の好きそうなものだ。

「ありがとーーーー。ハワイで着るからね・・・。彼、喜びそう。」

「だと思った・・・。ちょっとエプロンぽいでしょ?このポケットと

 胸の辺りが・・・。制服好きの彼には・・・たまらないかもね。」

あははは・・・・。

「綾って、仮装行列の衣装係りだったよねーー。いっつも。」

そうだった。

私はいつも仮装行列の衣装係りをしていた・・・・。

私も結局、真由の彼と大して変わらないのかもしれない。

衣装にはこだわりがある。

制服フェチではないが・・・。

「あ、綾・・・水曜日ね、関空から出発するから。

 あの・・・彼にね、綾のこと話したら

 一度顔見てみたいって・・・・。」

「えぇ・・・・緊張するなあ。でも見てみたい気はするなあ。

 何時の飛行機?」

「12時。10時半には向こうに着いてるかな。」

「わかった。お見送り行くわ。」

私は真由のいる大阪を後にした。

真由に頼んで、真由が行彦くんと一緒に写っている写真を

一枚だけもらった。

真由はそう不思議がりもせず・・・その写真をくれた・・・・・。

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グレープシードオイル ⑫彼の妹

「生きていれば必ず会える」そう信じてきたけど、

彼には会えなかった。

ピアノは5年生の終わりにやめた。

学校での音楽クラブが忙しくなり、

私は他の楽器をするようになった。

ただ、その川沿いの道を通ると、

丸坊主で優しい笑顔の少年に会えそうな気がして、

用もないのにその道を通ってみたりした。

              ☆

中学3年生の時、クラスメイトに「西枝真由」という子がいた。

最初はその子が行彦くんの妹だとは夢にも思わなかった。

この辺に西枝という苗字はたくさんあったから・・・。

でも真由と仲良くなり少しずつ話をするうちにわかった。

ある時真由と買い物に出かけた。

その時、真由がお兄ちゃんの話をした。

お兄ちゃんは小学4年生の秋に小学校のグランドで

野球の練習をしていて、

背中に球を受け・・・

倒れて、それから意識不明の状態で病院に運ばれた。

一命は取り留めたけれど、植物状態のままだ・・・と。

真由のお母さんは大変なショックを受けて、

一時は自殺もしかねないほどの状態だった。

相手が同じ町内の人だったので・・・

これもまた複雑で・・。

耐え切れずにその一家は引っ越していった。

お兄ちゃんの怪我には保険が適応されて、

一生を看ることが出来る金額のお金だけは下りた。

真由のお母さんは、今は朝から晩まで身を粉にして働いている・・・と。

お金のためではない・・・。

何かを忘れたいかのように、ただ必死に。

真由には下に弟がいるが、お母さんは真由のことは

あまり構わないのに、弟のことは猫可愛がりをすると言った。

真由が愛情に飢えているように感じたのはそのせいか。

兄の不幸な怪我のせいか。

私はその時、あれほど会いたかったゆきひこくんの消息を知って、

言いようのないショックを受けた。

でも、真由にはお兄ちゃんを知っているとは言えなかった。

助けてもらったことも、

川沿いの道で偶然会って名前を聞いたことも、

妹のことを心配していた彼から

いつか一緒に遊んでやって・・・と言われたことも、

真由には言えなかった。

もしかしたら、ゆきひこくんと私だけの秘密を

言いたくなかったのかもしれない。

ゆきひこくんの入院している病院が中央病院だと

真由から聞いて・・・・

一度だけ行こうとしたことがある。

でも・・・今の彼を直視できる勇気がなくて

結局行けなかった。

それからの私は、天の神様に祈るだけだった。

いつか行彦くんに会えますように・・・。

奇跡が起こりますように・・・・。

             ☆

結局のところ

奇跡なんてものは

い・つ・ま・で

待っても

起こらなかった・・・・けどね。

それから、私は祖母のいる京都の高校に行くことになった。

真由とも一旦お別れ。

行彦くんとも・・・・。

心をちょっとばかり・・・置き去りにしたまま・・・・。

でも、ずっとずっと忘れなかった。

              ☆

私はそれからもずっと、真由のいい友達でいようとした。

真由のお母さんにも頼まれたし・・・・。

真由のこと、守ってあげようと思った。

行彦くんのため?

それもあるかもしれないね。

だって・・・もう私には何も出来ない。

あなたの可愛い妹の真由をずっと見守ることくらいしか。

あなたの代わりに?

そうだね。

あなたが出来なかったことで

私に出来ることと言えば、

それくらいしかわからないんです。

             ☆

ゆきひこ。

初恋・・・・。

そう・・・初恋。

ワスレナイヨ。

忘れるわけないよ。

私って変ですか?

でも変でもいいの。

私は私の人生を歩くだけ。

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グレープシードオイル ⑪淡い恋

大阪の真由の部屋へやって来た私は、

そこで真由の兄・西枝行彦(にしえだゆきひこ)の「死」を知る。

本当はこの日、もうすぐハワイへ行く真由に謎めいた妻子持ちの彼氏の

事をもっとちゃんと聞いておこうと思っていたのに・・・。

「ねえ、真由・・・聞いてもいい?

 お兄ちゃんの最期はどんな感じやったん?」

「うん・・・・そうだね・・・命がすっと消えた感じ。

 私、中央病院でお別れの瞬間・・・お兄ちゃんに会えたんだよ。」

「そう・・・・・。」

              ☆

              ☆  

ここで時間は綾が小学三年生だった頃にさかのぼる。

その頃、私は町内会のフットベースボールに入っていた。            

当時は小学生は半ば強制的に参加するとこになっていた。

その試合がすぐに隣の学区で行われた。

自分の出番まではまだ時間があったので、

グランドの隅っこで遊んでいた時に、

誤って隣の家の植木鉢を割ってしまった。

当時、今よりももっと気の小さかった私は

どうしていいかわからず、

グランドの隅っこにあった土管のそばで泣いていた。

そこに偶然通りかかったのが、西枝行彦だった。

少年野球のユニホームを着た少年・・・・。

「お前・・・なんで泣いとるん?」

私はビックリした。

でも、優しそうな彼の目を見て、本当のことを話した。

すると彼は

「大丈夫じゃ。あそこのおじちゃんは優しいけん。

 わいが言うてあげるわ。」そう言って、

彼はその家の人に謝ってくれたのだった。

私は試合が始まると言って、探しに来たチームメイトに呼び戻された。

少年の名前も知らないまま・・・・

きちんとお礼も言えないままその日はそれで終わった。

その後、フットベースボールの試合には勝ってしまったのだ。

勝ってしまうと、夕方近くまで終わらない。

私は助けてくれた、彼のことが気になっていた。

               ☆

それからまた数日後、たまたま隣の学区との境界近くの

川沿いの道で、ばったり彼に会った。

ちょうどピアノの帰りに通る道だった。

ものすごく嬉しい偶然。

今度はきちんとお礼を言おうと思った。

「この間はありがとう・・・・。」

私は勇気を振り絞って言ったのに、彼は始めは気づかず、

「ああ、あの時の泣き虫さんかあ・・・・。あの後試合じゃったんじゃろ?」

と言ってきた。

「・・・・・・。」痛いところを突かれた。私は実際泣き虫だった。

彼は笑った。

それから、川の近くで彼と話をした。

下の名前だけ聞いた・・・・。

行彦・・・ゆきひこくん・・・。

自分の名前も「あや」とだけ告げた。

学年は一つ上だった。

彼は自分に私と同い年の妹がいると言っていた。

でも妹はちょっと変わってて、あまり外で遊びたがらない・・・と。

「いつか一緒に遊んでやって。きっと妹も喜ぶと思うけん・・・。」

「うん、わかった。」

そろそろ帰らなければならず、また次の週の

ピアノの帰りに同じ場所で会えたら会おう・・・と言って

別れた。

でも次の週は雨が降って、会えなかった。

その次も・・・。

その次も・・・。

なぜかゆきひこくんには会えなかった。

それっきりだった。

             ☆

私はゆきひこくんを心のどこかに閉じ込めたまま・・・

大きくなった。

大好きだった漫画の「キャンディ・キャンディ」の中のセリフ・・・

「生きていればきっと会える」というその言葉を胸に刻んで、

またいつかきっと会える・・・と思っていた。

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グレープシードオイル ⑩真由に会いに行く

翌朝・・・空は曇っていた。

メールは来なかった。来なかった代わりに郵便局から荷物が届いた。

名前を見ると真由からだった。

よくこんなサイズで配達してくれたよなあ・・というくらいの大きさで

配達の人に聞いたら、これが最小のサイズだそうだ。

私は急いで家の中に入ると

丁寧にはさみで上の部分を切って、その荷物を開けてみた。

それは手のひらに乗るくらいのサイズで・・・

でもまだ薄い紙に包まれていた。

そっと箱から出してみる。

軽い。

ゆっくり・・・その紙を開けて見ると・・・・

「えっ?」

それはなんと・・・木を彫って作った「仏像」だった。

仏像だけれど、顔は真由にそっくりだった。

私は、それをひっくり返してみたり、

逆さまにしたりして

色々な角度から見たが、

どこから見ても・・・・見事な出来ばえだった。

素人で彫刻には全く興味の無い私でもわかる。

もしかして真由の好きな彼が作っている人形とは

この「仏像」のことなのだろうかと思った。

どうしても真由に聞きたくなり、

電話をかけた。

「もしもし・・・・。」それは真由の声だった。

珍しく家にいた。

「あ、あの・・・私、藤川です。」

「あ・・・綾?ああ、もう届いたんだ。」

「そう・・・今、見せてもらったとこ。これって・・・もしかして?」

「そう・・・。彼が作ったの。」

「これって仏像だよね?」

「そうだね。」

「見事だね。」

「ありがと。」

「なんで、昨日の夜に言うてくれへんかったん?

 心配したやん。」

「あはは・・・綾に心配かけたかったの。」

「なんでよ?」

「なんでかな。」

「怪しい人形とか言うから、変な想像したやんか。

 ものすごマニアックな人形とか・・・フィギュアみたいな・・・

 オタッキーなやつとか。」

「あはは・・・そうでしょう?」

「ねえねえ・・・それはそうと真由、ハワイのことはほんま?水曜日って。」

「それは本当・・・・。」

「じゃあ、そっち行っていい?今から・・・。」

「え?綾が来てくれるの?」

「うん。すぐ行くから・・・。」

私は電話を切ると、まだ布団の中でごろごろしていただんなに

真由に会いに行く旨を告げて、

急いで支度をした。

ある物を持って・・・・。私はそれを夜なべをして作ったのだった。

             ☆

             ☆

今回は気が張っていたせいか、電車に乗っている時間も

短く感じられた。京都を過ぎた辺りから天気はがらっと変わる。

こちらは晴れていた。

地下鉄の駅に着くと真由が歩道橋の前で待っていた。

「真由!」

「綾・・・・。」

真由の住んでいるというマンションまで一緒に歩いた。

「大阪はにぎやかやね。それにみんな好きな格好して歩いたはるなあ。」

「そうだね。あんまり気にしないね。」

真由といたって普通の話をしながら歩いた。

5,6分して真由のマンションに着いたようだった。

「綾、ここは初めてだよね。前のマンションは来てくれたよね。」

「うん・・・。」

超高層マンションで・・・・玄関は最新式のオートロックになっているそうだ。

「これ、指紋で開くんだよー。」

真由は右の人差し指を部屋番号の書いてあるボタンにピタっとつけた。

田舎者の私はすーーーっと開いた玄関の扉から

大理石の敷かれた玄関のフロアに少し恐怖を感じながら

真由の後ろをついて歩いた。

(今度一人で来いと言われても絶対に来れないな。

 やっぱり土の上が一番落ち着くわ。)

今度は狭いエレベーターに乗る。

(いやあ、怖い。

 もしエレベーターが故障でもしたらどうするんやろ。

 まっ逆さまに落ちたりしたら絶対に助からんわ。)

「綾・・・さっきからどうかした?えらく無口だね・・・。大丈夫?」

「う・・・うう・・・・ん。ちょっと・・・・このエレベーター、大丈夫?」

「ん?大丈夫だよ。今まで一回も故障したこと無いし、

 毎月点検してるよ。不便なくらいだよ。」

「そう・・・。」

エレベーターが10階に止まった。

真由の部屋・・・。

ん?大理石の玄関にしては、ここはなんかものすごく

普通だな。

「さあ、どうぞ。」

私は真由の部屋に通された・・・・が・・・・・

うわ。うっわーーーーー。

狭い!狭い・・・・・大きなベッドが部屋の半分を占めていた。

その周りにはトレーニングマシンの類がいっぱい並んでいる。

「あ、ごめん。私・・・体鍛えてるのは知ってるよね?

 ちょっとはまりすぎて・・・。買いすぎた。」

真由は苦笑いをした。

私は部屋の狭さに圧倒されて・・・

なんと言えばいいのかわからなかった。

どこに座ればいいのかな。

「ベッドの上にどうぞ。」

うっわーーー体が沈みそう。

安定を欠きながら、私はちょこんと座った。

真由の部屋まで来たけれど、これで本当にちゃんと話が出来るのか。

不安になった。

でも・・・今日ここに来なければもうしばらくは真由に会えないかもしれない。

私は一つ、深呼吸した。

ふと洋服ダンスの上に目をやると、真由のお兄ちゃんの写真があった。

それは小学生の頃の元気な写真だった。

とても懐かしい・・・・。

「真由・・・あの・・・・あの写真・・・お兄ちゃんやんなあ?

 今も入院されてる・・・・。」

「ああ・・・そうだよ。お兄ちゃん・・・・・。あのね、綾・・・

 お兄ちゃんね、去年亡くなったの。・・・・ごめんね。言ってなかったね。」

「えっ?・・・・亡くなったん・・・・・・

 そうやったんや・・・・。去年のいつ?」

「去年の春。ちょうど桜が満開の頃・・・。」

私は一瞬、心臓をぎゅっとつかまれたような気がして、

息が出来なかった。

そうか、亡くなったんや。

私の・・・

私の・・・

思い出。

ゆきひこ君。

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お皿に…

お皿に…
こんなんどうでしょう?
今度はお皿に…
ほとんど趣味の世界ですが(笑)
凝り性で…

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無題

無題
これが信楽焼きの花器です。

昔からずっとお商売されているようなお店で見つけました。

自分の中では「花器」ですが。

これは一目惚れで買ってしまったのですが、

いざ花を入れるとなると・・・・ちょっと難しかったかも。

私が以前持っていた信楽焼きの花瓶は

ものすごくシンプルな形でした。

ゆえに、何を生けても大丈夫でした・・・しかし

この埴輪くんみたいなのは・・・

それだけで個人主張が強い!?

でも、縁あって私の手元に来てくれたわけですから

大切に使わせてもらいます。

これから色々試してみますね。

              ☆

焼き物ってなんか楽しいですよね。

私は何焼きかと言うよりも・・・

自分の心に「ピピン」と響くかどうかですね。

自分の傾向としましては、

白い色の焼き物が好きみたいで、

以前、清水焼のお湯のみを買ったことがあります。

当時の私にはかなり高級品だったと思います。

白に緑の縦じまが入っていて、

とっても気に入っていました。

数年後に割ってしまったのですが。

今はちょっと大人になったので、

割らないように気をつけますよ。

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信楽へ

信楽へ
今日は春分の日でしたね。私は信楽に行って来ました!
遠かった…。
うちからは京都の方がだいぶ近いという事が
よくわかりました。
でも…焼き物好きの私と
しては…目の保養をたくさんさせて頂きました。
やっぱり焼き物はええわあ…(笑)
あ、清水焼きも備前焼きも越前焼きも萩焼きも
それから…
美濃焼きも好きですよ。
今日は信楽焼きに癒されて来ました。
ひとつ花器を買いました。またUPしますね…。

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グレープシードオイル ⑨お人形作家?

ある金曜日の夜中に真由から電話がかかってきた。

虫の知らせというのか、真由のことがものすごく気になっていて、

でも大阪のマンションに電話をかけても出ないし、

携帯もつながらないしで、

私にもこちらの生活があるので、そのまま数日間を過ごした後のことだった。

「ごめんね・・・綾、今大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ・・・どうしたの?」

「うん・・・・。」

何か真由の声には元気が無かった。

「あのねえ・・・綾。私、しばらくハワイに行こうと思うの。」

「ハワイ?何しに・・・?」

「あのね・・・彼と一緒に、少しの間暮らしたいの。」

「うーーーん・・・・ハワイで?」

「うん。」

ううーーーーん、話が飲み込めないな。

「あのね、綾、本当は会って話がしたかったんだけど、 

 今、東京にいるんだ。」

「うん・・・。電話してても大丈夫なん?」

「うん・・・。大丈夫。」

「それで・・・ハワイにはいつから行くの?」

「来週の水曜日から。」

「はい???」

「来週の水曜日。」

「・・・・・・・。」

(またえらく急なんや。)

「綾、よく聞いてね。あのね・・・・彼ね、保険の仕事やってるんだけど、

 もう一つの裏の仕事があってね。」

「裏の仕事?」

「うん・・・・。それがね・・・そっちの方がすごーく儲かるんだって。

 それで、彼お金持ちだったの。」

「ふうーーーん。裏の仕事って何?」

「うーーーん・・・あのね、お人形作りの天才。」

(あーーーもうわけわかんない。)

「人形作家ってこと?」

「そうだね・・・まあそんな感じかな。」

              ☆

真由の話からすると、彼は保険の仕事は表の顔で、

実は裏で密かに自分の趣味で怪しい人形を作っていたそうだ。

それがインターネットに写真をアップして

こっそり売っているうちに話題になり・・・・・

自分の仕事よりも儲かるようになったのだと言う。

奥さんとの仲は昔からさっぱりしたものなので、

お互いのことには一切干渉しないと・・・。

誰と恋愛しようが、ルールさえ守ればそれはOKなのだそうだ。

なんでも、彼にとって真由は今まで会った異性の中で

最も自分の理想に合った相手で・・・・・

見ているだけで、完璧な人形が出来るのだそうだ。

真由を見ていると、最高級品の人形が浮かんでくる・・・・。

真由は自分の人形になるために生まれてきた女性なのだ・・・・・そうだ。

真由の話を聞いているだけでもう、なにか幻想の世界へ

引き込まれてしまいそうになった。

真由はそんな彼の事が大好きになり、

心からその人形作りの仕事を応援したいのだと言う。

「ねえ・・・・真由、真由は幸せ?」

「うん。とっても幸せ・・・・。」

「あのさあ・・ちょっと聞きたいんだけどね、その彼と奥さんとの 

 間のルールって何?真由は知ってるの?」

「ううん。それは聞いたけど、教えてもらえなかった。でも・・・・いいの。」

「ふうん・・・そのルールってなんなんやろうね。」

「私は気にならないよ。」

「ねえねえ・・・・・真由、彼の作る人形のなんか・・・

 写真とか、なんか無いの?」

私はものすごく興味があった。

どうしても見たくなった・・・・・。

「あるよ・・・・綾。明日送ってあげるね。写真・・・・メール見てくれる?」

「明日?」

「うん・・・・明日まで待って。・・・・じゃあ・・・電話切るよ。」

電話は切れた。

明日・・・明日・・・。

明日まで待つか。

              ☆

その夜、私は遅くまで寝付かれなかった。

彼の作る人形とやらが気になって・・・・。

ようやく・・・うとうとし始め・・・・そのまま眠りに落ちた・・・・。

その夜見た夢は近年まれに見る・・・最悪の夢だった。

              ☆

大きな広い部屋の中におびただしい数の人形があった。

それは人の形をした・・・マネキン人形のようだった。

いくつも

いくつも

人形が立っていて・・・・

そのどれもがみんな裸だった。

でも人形なので・・・・

体の表面は何も無かった。

途中から・・・・その人形の顔が・・・・

 す

  べ

   て

真由の顔に変わった。

人形の顔は全部、真由の顔だった。

私は声も出せず、

その場から走って逃げようとするけれど、

足が鉛のように重くて、動かないのだった。

汗だくで、気が付くと・・・・・

まだ明け方だった。

 

           

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水仙の花

水仙の花
今日の夕方、山の近くで水仙の花が咲いていました。
昨日までは蕾だったのに…。
花は命が短いって言うけど、命の営みはずっと続いているんですよね。
花は太陽の光にも
気温にもすごく敏感ですね。

そうそう、もうすぐ花の咲き乱れる美しい季節ですね。
私はこのちょい前の季節が一番好きかな…。
一週間で言えば木曜日!
あ〜明日は金曜日でその次は土曜日だあ〜みたいな…あははは…欲張り?
夏休みも…入ってしまえば終わりが見えるので、
夏休みに入る前が楽しい…そんな感じ。
お盆の頃が寂しくて…
やってられませんなあ(笑)

今、こちらに住んでいて
何が一番嬉しいかって、
野の花もいっぱいで
とにかく花が多いって事ですかね…。
うふふふふ…色は紫が好きです。
花は何でも好きです!

でもてっせん(クレマチス)も大好きなんです。
楽しみだなあ〜

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グレープシードオイル ⑧漣(さざなみ)

真由が80万円というお金を残して、銀行から立ち去った事件から二ヶ月ほどたった。

5月になった。

その80万というお金を真由はトラベラーズチェックに替えて、

ハワイで3ヶ月ほど暮らす資金にしたかったようだ。

ならばなおさらのこと、お金を置いたまま銀行から立ち去っては

いけないだろうと考えるのは私だけだろうか。

時々、真由が考えていることがわからない。

私にとって、80万というお金は大金だ。

              ☆

真由は時々電話をかけてきては私に制服好きの男の話をした。

一度目はエプロンだった。

エプロン姿の真由を目をキラキラ輝かせながら、

その男性は見ているだけなのだそうだ。

そして、真由は大阪の病院を一旦退職し、

東京の某クリニックにパートの看護士として、

籍を置き、1週間に1,2度そこで仕事をする。

高速バスで東京に通う・・・なんとも不可思議で

超人的な生活をしているのだという。

全く私には理解しがたい。

そして、真由が東京で仕事をしている間

たまに夜にその彼がホテルに部屋を取ってくれるのだという。

それはビジネスホテルだと真由は言う。

そして、彼は決して真由に何もしないと。

ただ、真由の姿を憧れと羨望のまなざしで見ているだけなのだと。

「そんなん、どう考えても変でしょ?彼は一体どういう仕事してる人なん?」

「仕事?うーーん、なんか保険の仕事って聞いたけど。

 めっちゃやり手なんやって。」

「自分でそう言ったん?」

「そうだよ。」

(胡散臭い。だいたい、本物のやり手は自分ではそう言わないだろう!!!!)

「あ・・・・綾、また怒ってる?妬いてる?もしかして。」

「怒ってないし、妬いてない。それはない。でも・・・・ただ・・・・。」

「ただなに?あんたのことが心配だって?」

「・・・・・・。わかったの?」

「わかるって。綾はいっつも心配してるって言うやん。」

「真由、あのね・・・私は真由のお母さんから生前、真由のことを

 よろしくお願いしますって、よく言われてたの。お母さんは

 真由のこと、ずっと見てるんだよ。」

真由もちょっと黙った。

「真由、本当に大丈夫?その人、怪しくない人?」

「うん。そう思う。普通の人だよ。」

(だから・・・普通じゃないって。ちょっと変わってるでしょ。)

私は言葉を飲み込んだ。

真由は続けた。

制服好きの彼は、真由のナースの制服を見るために

真由のクリニックにも仕事の合間を見つけて来るという。

クリニックに通う理由は無いのに・・・・。

だって、真由のクリニックは、腋臭の人のためのレーザー治療専門の

クリニックだよ。

               ☆

平凡で、小市民で臆病な私は、

真由の生き方に時々圧倒されてしまう。

ささやかに、今日も一日無事に過ごせたことを

思わず「ありがとうございます!」と空に向かって

言ってみたりしたくなる。

青空が見えた日は嬉しい。

月の綺麗な夜はハッピーだと思う。

お米がふっくら美味しく炊けていたらそれもハッピーだ。

              ☆

私は真由が幸せでいてくれたらそれでいい。

真由が心から好きになれる人といつか一緒になって

温かい家庭を築いてくれたらそれが一番などと、

真由の母親みたいな心境になることもある。

ねえ、真由。

本当に大丈夫?

その男性には奥さんも子どももいるんだよ。

その人

「君のこと、応援してる」って言ったって言ってたよね?

「いい人がいれば、君はいつでも結婚すればいい」って。

でもそれって、ずるくない?

私はずるいと思う。

逃げ道作ってるやん?

応援してるって、今は真由が自分のこと好きだってわかってて

そういう事、言うんだもん。

真由、東京と大阪ってそんなに近い距離なの?

              ☆

あのね、真由・・・・・

私が昔、好きだった人のこと知ってるでしょ?

とってもとっても好きだった人。

でもどうしても一緒には生きられなかった。

それは運命だと諦めた。

でも・・・・人間は好きだった人のこと、忘れないよ。

ずっと、ずっと忘れない。

心の遠くに住んでいる。

海で言えば、遠い地平線の波が穏やかなところ。

私はそれでいいの。

無理に忘れなくてもいいと思う。

でも・・・・

今、私の心にはさざなみが立っている。

心が乱れてしまう。

真由・・・・・・

彼には何か、何かあるんじゃないの?

真由・・・・。

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京町家へ

京町家へ
今日は京町家というところに行って来ました。

烏丸は久しぶりだったので、ちょっと道を間違わないか緊張

しました。大丈夫でした。迷わずにたどりつけました。

                ☆

私は町家が大好きで、とにかく懐かしい気持ちになり・・

時間があればいくらでもいたい気持ちに

いつもなるのですが・・・。

すぐに帰りました。

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グレープシードオイル ⑦警察からの電話

ある日の午前中のこと。

午前中の家事を終えた私はちょっと一息ついていた。

電話が鳴る。

「あー、あのぅ・・・曽根崎中央署の米田と申しますがぁ・・・・。」

な、なななな・・・・なに?

曽根崎中央署って言った?

受話器の向こうでは松方弘樹のような渋い男性の声がした。

「は・・・・はい。」

「突然すみませんな。あの・・・・西枝真由さんをご存知ですね。」

(西枝・・・西枝・・・真由!!!!あ・・・真由ってそんな苗字だったな。あは・・・)

警察ってことのほうが印象が強すぎて、

西枝が誰のことなのか一瞬、わからなかった。

それが真由だとわかるまでにほんの少し時間がかかった。

「はい。知っています。あの・・・真由がどうかしたんですか?」

「はあ。それがですね・・・・ちょっと連絡が取れない状態でしてね。」

あーーーん、もうよくわかんない。

なんで警察が真由に連絡取れなくて

うちに電話かけてきてるんだろう。

「あのですね・・・・真由さんがですね。先日、銀行に行かれたんですな。

 そして、所謂トラベラーズチェックを買いに行かれたんですが、

 銀行の人の説明によると、突然銀行から姿を消したそうで。

 その後、いくら連絡を取ろうとしても連絡がつかないと

 困り果ててうちの署に相談に来られたんですわ。」

その米田という刑事さんは一息ついた。

「どうしても連絡が取れないので、書いてあったマンションの管理人さんから 

 実家の電話番号を聞いたら、お父さんが出て・・・・

 あなたのところにかけてみてくれと・・・・言われたので

 かけた次第です。 

 何かご存知では?」

「残念ながら、何もわからないですし・・・なにも連絡は無いです。

 でもそういうことでしたら、一度彼女に連絡を取ってみます。

 もし、取れたら、折り返し電話します。」

私は米田さんに曽根崎中央署の電話番号を聞くと

すぐに電話を切った。

そして・・・・思わず大きなため息をついた。

真由、またやったのね。

変わってないな。

              ☆

昔、中学生の頃一緒に買い物に行った。

その店で真由がわざと私を怒らせるような態度をとって、

私が怒ると、店から忽然と姿を消してしまったのだ。

私は心配して彼女を店中探し回ったが

結局姿は見つけられず・・・

困り果てて家に電話をかけたら、

とっくの昔に家に戻っていた。

私が心配して探したことを言うと、

笑っていた・・・・・。

過去に何度かそういうことがあって、

わざと人を怒らせたり、

心配させたりして、

人の心を試しているようなところがあった。

そこまで愛情に飢えているのか?

そこまで人に心配して欲しいのか。

だから今回のことも事

件ではないだろうということはすぐにわかった。

ただ、大金を銀行に置いたまま、

忽然と姿を消した真由を

説得して、

銀行にもう一度行かせなければならないし

約束したので、刑事さんにも連絡をせねばならない。

真由が直接、電話をかけるとも思えない。

私は真由の携帯電話の番号に電話した。

出ない。

また時間を置いてかけてみた。

            ☆

            ☆

            ☆

「もしもし・・・・。」

「真由・・・・私、綾。あんた、なにやってんの?」

「だって・・・・。」

「だってじゃないでしょ。説明してよ。今、警察からうちに 

 電話あったよ。お父さんに聞いたって。」

「そうなん・・・・。」

真由は案外普通の様子だった。

悪びれた様子も無い。

「なんで、銀行に大金残して、急にいなくなったりしたの?」

「だって・・・・銀行員、めっちゃ態度悪かったんやもん。

 人を散々待たせて・・・・えらそうな態度してて。

 だから、帰ってきた。」

「ふうーーー。真由、でも大金はどうするつもりやったん?」

「それは・・・・。」お茶を濁す。

「なんで電話に出なかったん?」

「だって、しつこいんやもん。もううるさいと思って・・・。

 居留守。

 それに、今は泥棒に入られた後みたいな部屋になってるから・・・

 家に来られても、出れないし。」

「銀行の人が家に来たん?」

「そう。出なかったけど。」

「それで、警察に行ったんや。」

私はここで真由をちょっと驚かすことにした。

そうでもしないと、真由は銀行にもお金を取りに行かないかもしれないし、

米田さんにも連絡しないかもしれない。

「真由・・・・刑事さんがね・・・このまま行方がわかんないと

 家宅捜索みたいになるかもしれないって。

 それ・・・もっと困るんちゃう?

 ね、ちゃんと連絡入れて。」

「えぇーーーーーーー家には誰も入れないよ。 

 わかった、わかった。連絡する。」

真由は私の言葉を信じたようだった。

刑事さんに電話を入れることも約束したし、

ちゃんと銀行の人にも連絡すると言った。

後で、聞いた話によると、結局その銀行員には謝らせて、

支店長を家の下まで呼びつけたらしいけど。

恐るべし・・・真由。

でも、人に心配かけてるんだよ。

どうして、そんなに愛情に飢えてるんだ・・・君は。

  

 

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グレープシードオイル ⑥色気

あの日真由はうちで軽くご飯を食べてから、仕事があると言って

大阪に戻って行った。

その後、しばらく連絡はない。

まずいことになっていなければいいけど・・・・それだけが心配だ。

でも私は、余程のことがない限り自分からは連絡しない。

だから「綾は冷たい」と言われるのだろうけど。

でも、真由の場合用があれば必ず自分から連絡をしてくるし。

               ☆

真由にまつわる不思議な話は探せばいくらでも出てくる。

なぜか真由はいつも仕事場でオジサンにモテると

自分でそう言ってる。

でもそれは真由にとってはすごく嫌なことのようだ。

でも正直私は、一度も真由が働いている姿を見たことがないので、

何とも言いがたい。人気があるのはいいことじゃないか。

制服姿も見てみたい。

そう言えば、昔まだ真由が岡山駅の近くに住んでいた頃、

一度岡山で友達の結婚式の帰りに

泊めてもらったことがあって、

その狭いアパートの室内に真由の洗濯物が干してあったのを見た。

でもそれは制服が干してあるのを見たのではなく、

制服が薄くて下着が透けるから着ていると言っていた、

真由の薄い水色のスリップを見たのだった。

綺麗なレースのついた水色のスリップが妙になまめかしく感じられた。

なぜ、今それを思い出したのだろう・・・・。

真由はよくセクハラまがいの目に遭うといつも嘆いている。

でも、看護士という仕事をしていたら

それは・・・・ちょっと仕方がない部分もあるのではないかと思う。

病気で入院している時に自分のお世話をしてくれる

かけがえのない人。

優しくされたら誰だって嬉しい。

ちょっと甘えたり、大した用事でなくてもナースコールしてみたり

それはあるだろう。

でも真由は怒っている。

ただ真由の場合は、お尻を触られそうになったとか・・・

胸をじーっと見られるとか・・・まあ、そういう訴えが多い。

               ☆

真由の外見。

色が白い。

目が大きい。

そして、口も大きい。

体はしっかりしている。

本人は太りすぎと思っている。

本人は毛深いことを悩んでいる。

胸がない・・・と本人は言う。

でも、私は「本人」と付けたところは

そんなことはない!と思っているところ。

別に太り過ぎてもないし、

毛深いとも思わないし

胸だって普通にある。

真由はいつも綾の胸は大きいからうらやましいと言うが、

私は自分の胸は嫌いだった。

胸の大きい女は頭が悪そうに見えると

昔言われたからだ。

でもそれを真由に言っても

そんなの贅沢な悩みだと言う。

そんなことはない。

真由が胸を半分分けてと言うので、

本当に出来るのなら半分と言わず、

いっぱいあげる・・・といつもそう言った。

「さっき、すれ違った人私の胸を見てから

 自分の胸を確認してた。」

「それって、どういう意味?」

「私の胸が小さすぎるから。自分の胸と比べたんでしょ。」

「まっさかあ・・・。そんなことしないでしょ。」

「綾には見えなかったの?」

「見えんかった。」

             ☆

             ☆

でも・・・・多分・・・

これは私の勝手な意見。

真由には色気があるのだと思う。

それは女性にはわからない、

多分男性だけが感じる・・・色気。

女性の目から見たら、色の白い

ふんわりマシュマロみたいな・・・

顔立ちのはっきりした女の子。

女優の横山めぐみに似ている。

昔は石田えりにも似ていた。

でも男性にはすごく惹きつけられる「何か」が

あるのだろう。

魔力?

魅力?

磁力?

真由はある理由から男性が苦手で

追っかけられると、即座に覚めてしまう・・・といつも言う。

決して追いかけてこない人が好きなんだと。

だから、とにかく男性にそいういう目・・・・真由は

よく「やらしい目」と言うが、そういう目で見られることに

ものすごく敏感だ。

でもこれも、真由の話を一方的に聞いているだけだから

私には実際のところはわからないのである。

真由はちょっと敏感すぎる・・・・

ちょっと自意識過剰なのではないかと

中学の同級生の男子に、高校生の時に聞いた。

私は「ふうん・・・・・そうかな・・・。」と

流したけれど・・・。

でも・・・・時々、本当にそうなのか。

真由の被害妄想なのではないかと

疑ってしまうことがある。

こういう考えに取り付かれ始めると、

ますますわからなくなってしまう。

深みにはまっていく。

ただ、「いくらなんでもそれはないやろ?」ということを

真由は時々言うのである。

その一つ。

少し前の話。

「綾ぁ・・・今度ばっかりは本当に気持ち悪かった。」

「どうしたん?」

「それがさ、この間実家に帰ったら

 父親が私の干してた下着をじーーっと見て、 

 にやにやしてた。」

「・・・・・・・・。」

「気持ち悪いやろ。くそおやじ。」

昔から仲悪かったもんなあ。

でも・・・・いくらなんでも娘の下着・・・・

にやにやしながら、見る?

「そんなあ。何かの間違いじゃないの?」

「絶対、見てた。」

真由は言い切った。

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グレープシードオイル ⑤制服フェチの男

フェチという言葉を知らない人のために説明を書いておこうと思う。

fetishism(フェティシズム)とはいくつかの意味があるが、日本語の場合

「異性の体の一部や衣類などを性愛の一部とする心理」この

意味で使われる場合が多い。「大修館書店・ジーニアス英和辞典参照」

                 ☆

ある日のこと。突然、真由がうちに来ると言い出した。

先日、東京からは無事に戻ってきたらしい。

まずは一安心・・・もしてられないか。

真由の様子が少し変だった。

「綾、今日そっち行くからね。」

「ちょ、ちょっと・・・真由。まゆちゃん・・・・・急にそんなこと言って。

 大阪から出てくるんでしょ?」

「とにかく・・・・会ってから話すし・・・。」

               ☆

真由は電車を乗り継いで、私の住んでいる関西の外れまで

すぐにやってきた。

「今日の夜は仕事入ってるし、夜までには帰るからね。」

「忙しいなあ・・・大丈夫?」

「う・・・うん・・・まあ・・・。」

真由をリビングに案内し、とりあえずコタツに座らせた。

「コーヒーそれとも紅茶?ハーブティもあるし・・・ココアも出来るよ。」

「あ・・・わがまま言ってもいい?」

「いいよ。言ってみて。」

「綾、昔チャイっていうやつ淹れてくれたやん?あれがいい。」

「チャイ?いいけど・・・・最近淹れてないなあ。美味しく出来るかなあ。」

「いいの、いいの。チャイの気分なの。」

真由がそう言うなら淹れてみようか。

私は小鍋に少しだけ水を入れて、火にかけた。

そこへ茶葉を入れて、牛乳を足した。

黒砂糖を入れて・・・・・コップに注ぎながら

茶漉しで茶葉を取り除く・・・・。

キッチンにあったシナモンをほんの少し入れてみた。

自分の分にだけ。

真由の分にはシナモンは入れていない。

私は本人に聞いてから、スパイスを入れたいタイプである。

「ん・・・・いい匂い。」

「どうぞ。めっちゃ久しぶりに淹れてみた。」

「このコップ、可愛いねえ。」

「そう?100均だよー。そうそう、真由はシナモン、入れる?」

「ううん、いらない。」

(やっぱりね)

「美味しいよー。この味、この味。」

(真由はいつもより若干テンション高めである。

 何があったんだろうな。)

「あ、あのさ・・・・綾。」

「ん?」

「あのね・・・・東京のことなんだけどさ。」

「うん・・・・。」

私はずずっとチャイをすすった。

「あのさ・・・。」

真由の話はなかなか要領を得ない。

「実はね・・・・綾に電話をかけてから、ちょっと時間をつぶして、

 彼に会ったんだ。

 レストランで食事して。彼がご馳走してくれて。」

「うん・・・。何食べたん?」

「フランス料理。・・・その後、ちょっとホテルに行くことになって・・・・。」

(うーーーむ。それは急過ぎやしないか?)

私は黙って聞いていた。

「彼ね・・・・制服フェチだったの。」

「はいーー?」

(意味わかんないんですが・・・)

「あのね、私が看護士だってことは知ってるの。

 そしたら、制服着てるとこ、見せてくれ・・・って。

 めっちゃ、お願いされた。目がキラキラしてたもん。」

「ほんで?」

「思わず、うん・・・・って言っちゃった。」

「うーーーむ、それで・・・・真由の気持ちはどうなん?」

「やっぱ、彼のこと好き。」

「それで?その日はどうなったのか・・・聞いてもいいのかな?」

「うん。結局、彼が持って来た、エプロン着て・・・・それ以外は

 何もしてない。」

「何も無かったってこと?」

「そう・・・・。ただ、エプロン姿を嬉しそうに眺めてたわ。」

(うっそーーーーん・・・まじで?そんな話、生まれて初めて聞いたわ。)

しかもエプロンを着ているという状況がよくわかんないんですけど。

「真由・・・・あのね・・・・。なんか危ない感じがする。

 そもそも、エプロンはどういう状況で着てるわけ?」

「状況?普通にだよ。」

「普通?普通って・・・・何が普通なの?」

「私もわかんない。でも彼がエプロン姿を嬉しそうに眺めてたんだもん。」

「それで?」

「それで、ホテルで二時間経ったので・・・その日は別れたの。

 また電話するって言われた。」

これにはびっくりしたけど、きっと何か事情があったのかな。

私も制服が好きな人の話は聞いたことはあるけど、

それは制服姿がかっこいいから好きっていうくらいのもので、

真由の今の好きな人とはまた少し違う気がする。

この日、真由から聞いたのはここまでで、彼の一体

どこが好きなのか、

どんな風に連絡を取り合ってるのかとか、

そんなのはわからなかった。

真由のあだ名は「ナース・真由ちゃん」で

結構オジサン受けするとは聞いていたけど・・・・。

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グレープシードオイル ④さんざん

ひな祭りは散々だった。巻寿司を巻くのって、見た目より実際は難しい。

あれは「巻きす」だと思い込んでいた私・・・本当の名前は何?

お寿司を巻く・・あの・・・簾.。

中身は美味しそうだったのに・・・のりに乗せる酢飯の分量と

場所、具の乗せ方等・・・・いやあ、出来上がったら見た目が

なんかとってもまずかった。

がっくり。

夕方の忙しい時間にまた電話がかかってきた。

真由だった。

人一倍寂しがりやの真由だから・・・私が聞いてあげなくてはいけない。

「あーー綾ぁ・・・ごめんねえ。今、忙しい?」

「うーーん、ちょっとねえ。ひな祭りメニュー作ってるんだよ。

 巻き寿司も見た目が悪くて・・・ちょっと失敗かなあ。」

「相変わらず、マメやねえ。ねえねえ・・・ちょっとだけいーい?」

「うん。いいよ・・・何かあった?」

「うん・・・彼がね、東京に遊びに来ないかって言うの。」

「え??どうやって、連絡は取ってるの?」

「彼、仕事の携帯持ってるの・・・。自由に使えるんだって。」

「へえ、そうなんや。それで、遊びにおいでってどういう意味?」

「多分、そういう意味。」

「えぇ・・・・マジで?真由はどうしたいの?」

「行きたい。」

「じゃあ、なんで電話かけてくるのよ。」

「綾ぁ・・・怒ってる?」

「怒ってない。」

「怒ってる。」

「怒ってない。ちょっと、真由・・・・最後は自分で決めるんでしょ?

 じゃあ、なんで私に言うわけ?」

「なんでって・・・・綾の声が聞きたかったからだよ。」

「それで・・・いつ?」

「今日。」

「は?」

「今、東京なの。」

「は????」

「もう来てるの。彼の仕事、夜までだから、時間つぶすわ。」

「真由・・・・・大丈夫なん?」

「大丈夫だよーーー。」

(ああ、疲れる。同じA型でも・・・どうしてこんなに違うんだろう。

 真由とはわかり合えない気がするわ。)

真由の電話は切れた。

また腹が立ってきた。

真由はそれでいいの?本当に・・・。

彼のことがそんなに好きなの?

かなり年上って言ってたなあ。

大丈夫かなあ。

はあ・・・・。

もう、東京だって。

大阪駅からバスで東京だって・・・・・聞いてるだけで疲れそう。

真由はパワフルだもんね。

               ☆

かくして、真由からまたまた驚きの話を聞かされるのであるが・・・

それは次回に。

平凡な主婦である私には・・・全く信じられないような・・・

アメージングな・・・・いや、アンビリバボーな・・・・

いや、ミステリーな・・・・いや・・・・ちょっとおかしいよーーーー。

助けて。

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グレープシードオイル ③ひな祭

真由の話を聞いていると、段々めまいがしてきた。

自分の中ではもう処理しきれなくなっていた。

およその内容はこうである。

去年、どこかの海外の南の島に旅行したら、

海辺でナンパされた。

お茶だけでもどう?と誘われ、ホテルのラウンジで

お茶した・・・・。

色々な話をするうちにその人が東京のサラリーマンで

かなりお金持ちだった・・・ということ。

ものすごく、紳士的で全然下心など感じさせなかった・・・。

(ふう・・・ため息が出る。

 男の人で、お金持ちで、大人なら・・・

 どうなん?

 下心は無いのかな??

 いずれは真由と恋愛関係になりたいと思ってるかも・・でしょ?)

「うーーむ・・・そっかあ・・・」

それだけ言うのが精一杯だった。

だって、今彼に夢中になっているであろう真由に

何か言っても・・・聞く耳持たないのではないだろうか。

私が真由をうらやましがって、

そんなこと言ってると思われるのはもっと嫌だった。

「綾、無口なんちゃう?なんか思ってるでしょ?」

「別に・・・・。真由がそれでいいなら・・・・

 でも、気をつけてね。奥さんも子どももいるなら・・・

 ちょっと考えてみて。」

「何を?・・・私は別に妻子がいてもいいの。

 それは関係ないよ。」

(関係無くないよ!!もう・・・むかついてきた。

 そろそろ電話、切りたいんだけど・・

 タイミングが難しい。

 しかも、真由って最近ちょっと言動がおかしいし。

 あんまり冷たくもできない。)

と思っていたら、真由の携帯に電話が入ったらしく、 

「あ、ごめん。彼から電話~。またね。」と言って、

突然電話を切られた。

ふううーーーーと思わず自分でも大きなため息が出た。

真由は昔からちょっと変だった。

中学の時に出会ったころから。

家庭がちょっと複雑だったせいかもしれない。

3人兄弟の真中で、兄と弟がいた・・・けれど・・・

そのお兄ちゃんという人は、小学生の頃野球のボールが

背中に直撃し、それ以来植物状態で、

ずっと病院に入院している。

私もお兄ちゃんをちょっとだけ知っている。

真由は、万年愛情不足のようだった。

愛情不足のまま、子どもが大人になったようなところがあった。

人にわざと心配をかけたりして、試しているようなところもあった。

私のことは、よく昔から「冷たい」と言った。

冷たい?

いや、冷たくないよ。

でも時々、あんたのそのちょっと厄介な性格についていけないだけ。

あ。

今日はひな祭りだった。

巻寿司の材料もケーキの材料も買いに行かないといけなかった。

なんで、こういうときに限って・・・

なんかめちゃくちゃテンション下がったんですけど・・・。

真由、あんたのせいよ。

私は別に、あんたが昔からお金持ちでも

一緒の時に、デパートでぱかぱか買い物しても

全然、ヤキモチ焼いたことも無いし、

あんたがどんだけ海外旅行に行こうと、

そんなの全然何とも思ってないよ。

それを「綾って不思議。私が買い物してても全然何とも思わないの?

 とか、海外行ってても何とも思わないの?」とか

言う方が、怖いって。

私は若い頃にいっぱい貧乏旅行してるから・・・

それなりに、自分にしか出来ない形で海外を味わってるよ。

だから人のことは全然、何とも思わないんだってば。

ハワイなんて、一度も行った事ないし・・・

ラスベガスもパックの新婚旅行で超つまんなかったし・・・

もう、アメリカは行かんと思うよ。

海外でナンパはされたことないけど、

タイでは、ちょっとだけもてた・・・なあーーんてこともあったっけな。

それは単に、私が一見「タイ人に見える」って理由だけだと思うけど。

よく、間違えられたし。

まあ、21歳・・・若いわなあ。

写真見ても、お肌がぴちぴちして、水はじきそうやもん。

あは。

真由・・・・正直言って、私は心配なの。

あんたのお母さんに昔、真由のことお願いしますね・・って

頼まれたし。

一昨年、病気で亡くなったとなるとなおさらのことだよ。

お兄ちゃんのこともあるし、

真由も辛いことも多いやろうけど。

真由・・・・引き返せなくなる前に

ちょっと考えて。

一線は越えないで。出来れば。

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