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祖父恋 10・モテるおじいちゃん

 期末試験は無事に終わった。私の成績は人生で初めてというくらいよかった。だからちょっと京介くん=おじいちゃんにも驚かれてしまった。

クラスの雰囲気にも徐々に慣れて来たし、学校生活は順調だった。多喜子さんと私はつかず離れずの関係でただのクラスメートという一定の距離を保っていた。ただ・・・・・私は多喜子さんとおじいちゃんはいつか「くっつく」のだろうかと期待をもって眺めているのだけど、全くそういう気配は感じられなかった。

                   ☆

夏休み直前。宮田家の中は変わったことはなく、穏やかな日々だった。真美子ちゃんをいつか笑わせようと頑張ったりもしているのだけれど、彼女は相変わらずマイペースだった。京介くんは陸上部の練習に打ち込んでいたし、並木くんも・・・・。私は誰にも気付かれないように細心の注意を払って、遠くから陸上部の練習を眺めたりしていた。

「恋心」というものは今は持たないでおこうとちょっぴり頑張っていた。彼が芥川龍之介にそっくりな顔ということがわかり、もうそれだけで満足だった。上手く言えないけれど・・・。ただ、若き日のおじいちゃんと並木くん、この二人に会えているというだけで、十分幸せだった。

                   ☆

ある日の放課後のことだった。結局、茶道部に入った私は練習を終えて一人で家に帰ろうとしていた。すると・・・後ろから声をかけられた。それは同じ茶道部の先輩だった。

一つ上の先輩・・・・。大宅(おおや)さんと言ったかな。長い髪の毛を三つ編みにしている。とても優しくて上品な人。彼女はなぜかとてもはにかみながら話しかけてきた。もともと、ものすごーくおとなしい感じの人ではあったけど。

「あ、あの時田さん・・・・・」 

「はい。あ、大宅先輩」

「よかったらそこまで一緒に帰らない?」

「はい・・・・」私はちょっとびっくりした。なんか用事だろうか?すると先輩は話し始めた。

「あなたはこの間転校して来たのよね。今は宮田くんのところに一緒に住んでいるのよね」

「そうです・・・・しばらくは居させてもらうことになってます」

「そう・・・・。私ね宮田くんとは小学校が同じなんだ。小さい頃は一緒に遊んだりもしたんだけどね。さすがにもう高校生だから・・・・遊んだりはできなくて」

先輩はちょっとそこで口をつぐんだ。

「先輩?」も、もしかして・・・・・この人・・・・・おじいちゃんのこと?

「あのね・・・唐突にごめんね。私、宮田くんのこと、ずっと・・・」

「ずっと?」私はゴクンとつばを飲み込んだ。

「ずっと・・・・・」ああ、じれったいな。言ってください。先輩は真っ赤になってしきりに照れている。

「好きだった・・・・ですか?」私は小さい声で言った。だって、彼女は絶対に言いそうになかったから。

「どうしてわかるの?」そりゃあ、わかりますって。それしかないでしょ。

「それでね・・・夏休みなんだけど・・・・」

「はい」

「みんなで海に行かないかな?」

「へ?みんなって・・・?」

「大勢でってこと」先輩の言う大勢っていうのがどの程度の大勢かちょっと私にはわからなかったけど、でもまあ海なら行きたいな。

「いいですよ。じゃあ・・・おじ・・・じゃない、京介くんに言っておきますね。また学校で詳しい事は決めましょうか。先輩は泳ぐのはお好きなんですか?」

「私?あんまり泳げないんだけどね。ありがとう、時田さん・・・」先輩はとても嬉しそうな顔をして曲がり角をうちとは反対に曲がって行った。

                 ☆

家に帰った私はポチの散歩に出た。真美子ちゃんを誘ってみたけど、またふられてしまった。

「ポチ~、元気だった?」

(元気ですよ・・・あんずは?ああ、元気そうですね。それに楽しそうですね)

「おかげさまで。私結構環境に適応できるタイプなのかなあ・・・」

(かなりそうみたいですね。悩みなんて無さそうだもの)

「そんなことはないけど。まあ今のところは・・・・・。いやいやいや、悩みはあるのよ」でもポチは何も聞かなかった。

「あのさあ、ポチ・・・・前から気になってたんだけどね。島田多喜子さんて人いるでしょう・・・あの人、おばあちゃんかな?」

(そうですよ。でも・・今はそれ以上は言えません・・・・ワン)あ、ポチが普通の犬になった。

私もこれ以上は聞かなかった。その日の夜、京介くんに海の話をしてみた。2階の廊下で。

「あのさあ、茶道部の大宅さんってわかる?2年生なんだけど」

「ああ・・・わかるよ。大宅まりこさんだろ?」

「そう・・・・。京介くん、小さい頃遊んでたんでしょ?」

「ん、小学校の頃。遊んでた、遊んでた」京介くんは笑った。ええーけっこういい反応だ。

「もしかして、大宅先輩のこと好きだったとか?」私は思い切って聞いてみた。

「え?俺・・・?違う、違う・・・まりちゃんのこと好きだったのは並木だった」

「ええーーー」そんなこと、さらっと言わないで欲しいなあ。ちょっぴりショック。並木くんはああいうおとなしい感じの人が好きなのか。

「どうかした?でも本当にガキの時の話だから・・・・ああ、それで?」

「えっ、ああ・・・それでね、みんなで海に行きませんかだって」

「まりちゃんが?ははは・・・・いいけど」

「いいんだ」へえ、おじいちゃん女子と一緒に海とか行くんだ。なんかなあ。意味はないけど、ちょっとむかついた。

「じゃあ、並木もメンバーだな。まあ、10人までだなあ」ちょっと意外。京介じいちゃんは夏のイベントにはけっこう乗り気なんだ。へええ。にしても・・・・・並木くんも来るの・・・・。昔好きだった大宅先輩が一緒ってどうなんだろうなあ。

大宅先輩はおじいちゃんのこと好きみたいだけど、おじいちゃんはどうなんだろう。誰か好きな人いるのかなあ。私は自分でも何故だかわからないけど、京介くんに対して腹が立っていた。

                              つづく

作者より;さあ、これから夏本番。お決まりの海に行きますよ~。あんずちゃんは一方的に京介じいちゃんにむかついてるみたいだけど・・・・どうしてかなあ。

 

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コメント

海ーっ!
人多そうですよね~、昭和の海って。
あんこはポチの魔法で「透けない白ビキニ」を出してもらうのじゃっ。
これで、主役間違いなし。
楽しみにしてます!ψ(`∇´)ψ

投稿: 大田分 | 2009年7月 9日 (木) 20時17分

海っ!
夏だぁ。
当然多喜子さんも来るよね?

この時代の男子の水着って、どんなんなんやろぉ…?

ブラックジャックの水着姿は…う~~~ん…

投稿: あかつき涼 | 2009年7月 9日 (木) 21時24分

アレレ、やっぱり水着の話題でもりあがっちゃった?
わたしも、そこがききたいっ!

しかし、大勢で海♪
 清純異性交遊?
  ええわあ…。
   思い出すわあ…。

投稿: みわっち | 2009年7月 9日 (木) 21時39分

あんずちゃんのむかつきは、やっぱり嫉妬ですか??それとも…??

そして、海っっheart04
なにが起こるかどきどきわくわく♪
夏の太陽に負けないほどの熱い出来事なんて、もしかして起こっちゃいます?!smile

投稿: 百瀬朝海 | 2009年7月 9日 (木) 23時24分

>大田分さん

ありがとうございます!ポチに白いワンピースタイプの水着出してもらおうと思ってたんですよねψ(`∇´)ψ当時、まだビキニは海水浴場では禁止の場所もあったらしいですよ。危ない、危ない。別の意味で主役になっちゃうわあ。

投稿: 美月 | 2009年7月10日 (金) 00時32分

>あかつき 涼さんへ

多喜子さん、また鋭いとこ突いてくるんやからあ( ̄ー ̄)ニヤリそう言われたら、出さんわけにはいきませんがなあ・・・。強引に海に誘っちゃう?
ああ、男子の水着は、横に縞模様の入った、漫画に出てきそうなヤツ?違うか。スクール水着か?いやん・・・

投稿: 美月 | 2009年7月10日 (金) 00時35分

>みわっちさんへ

やっぱり水着?そうですよね~♪
芥川龍之介の水着ですよ・・どうしましょう?

伯母の昭和35年頃の海水浴の写真を参考に書きます!!
純情異性交遊・・うーーむc(>ω<)ゞ
すいか割っちゃう?それとも、ボート乗っちゃう?ぷぷぷ・・・私は無いですけどね(≧∇≦)

投稿: 美月 | 2009年7月10日 (金) 00時42分

>百瀬朝海さん

さすが、鋭い!あんずのむかつきは・・。
これから徐々にわかってくるかなあ。

きっと何かは起きます、でも昭和30年代なので、多分太陽に負けないほどの熱い出来事は・・ちょっと無理かなあ(≧m≦)

って言うか、太陽に負けないくらいの熱い出来事ってな・ん・で・す・か・あ~っ。
お姉さま教えてくださいヽ(*≧ε≦*)φ

投稿: 美月 | 2009年7月10日 (金) 00時46分

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