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祖父恋 12・ポチの重大発言

 やっと梅雨が明け、夏休みはもう目前だった。高校は休み前で短縮授業になっていた。京介じいは陸上の練習に熱心だった。でもこの暑さでは練習もきついだろうな・・・・。並木くんもまた黙々と練習していた。ああ、並木くんかあ・・・こんなに暑くても髪の毛でいつも顔半分は隠れていた。???なんでかなあ・・・・。今度機会があったら本人に聞いてみようかな。

                  ☆

みんなで海に行くのは1週間先だった・・・・そんなある日。私が学校から家に戻ると、庭に真美子ちゃんがいた。一人で庭の木を眺めていた。

「ただいまあ・・・真美子ちゃん・・・何見てるの?」

「あんずちゃん・・・おかえりなさい」やはりいつも通り笑わないけど・・・。でも最近は少しずつ一緒に話す量が増えていた。鶴代さん(曾おばあちゃん)にもそれから京介くんのお父さん(曾おじいさん)にも言われた。「最近真美子が少しずつ変わってきた」と。そうなんだろうか?いつか真美子ちゃんが笑ってくれる日が来たりするのだろうか・・・・。私は真美子ちゃんの笑う顔を想像してみた。きっとすごく可愛らしいと思う・・・でも、笑った顔を見たことがないので、想像するのは難しかった。

「あっ」・・・ふと気がついた。

真美子ちゃんは京介くんの顔立ちに似ているから・・・・私はふと、京介くんが笑う顔を思い浮かべた・・・・。思い浮かべて後悔した。

最近私はどうかしている。心ではわかっている、わかっているのに・・・・胸が苦しい。相手は自分のおじいちゃんなのだ。おじいちゃんなのに・・・・京介くんの顔をまともに見られない。こんなのいけないことってわかっているのに。 

このことだけは誰にも言えない。気付かれてははいけない。並木くんを初めて見て感じた気持ちとは何かが違っていた。何がどう違うのか・・・それは自分でも説明できないんだけど。

「あんずちゃん・・・・どうしたの?」

「え?」見ると真美子ちゃんが私の手を引っ張っていた。

「あ、ごめんね。私・・ちょっとぼーーっとしていたね」

「あんずちゃん・・・あのね、真美子ね、せみをみていたの」

「蝉を?」

「うん。あそこにせみがいるでしょう?」

「ええ?どこどこ・・・・」真美子ちゃんの指差す先を見てもなかなかわからない。色々目を走らせてみてやっと見つかった。

「あっ、いた。あぶら蝉だね」桜の木の上の方。

「真美子ね、お兄ちゃんに聞いたのよ。せみは長ーい間、土の中にいるんだって。でもせみになったら1週間しかお外で生きられないんだって・・・」真美子ちゃんは一生懸命説明してくれていた。

「そうだね、蝉は1週間だけお外で生きられるんだってね。真美子ちゃんは蝉が好きなの?」

「うーーん」あれ、考え込んでしまった。余計な質問しちゃったかな。少しして、真美子ちゃんが口を開いた。

「あのね、蝉は悲しくないのかなあ?」

「何が?」

「すぐに死んでしまうでしょ・・・・」ああ、なんか哲学だなあ、この子って。

「お姉ちゃんはこう思うのよ。蝉はね、お外では1週間しか生きられないから一生懸命生きてるんだって・・・毎日毎日、鳴いてるでしょ?」

「うん・・・・・」

「きっと、一生懸命生きたから・・・悲しくないと思うよ」 

「そっかぁ」真美子ちゃんはそう言うと、走って家の中へ消えて行った。

                  ☆

「ねえ、ポチ・・・・・」私はポチの小屋に行った。

(あんず?どうかしましたか?) 

「真美子ちゃん・・・・なんかすごく奥が深いね。ちょっと考えさせられちゃった」

(そうでしたか・・・・・。ああそうだ。大事な話があります。写真のこと、言ってなかったですね)

「写真のこと?」

(そうです。この時代ではカメラは高価なものだから、そんなに持っている人はいないでしょうけど・・・・注意してください。くれぐれも写真には写らないようにね)

「多分大丈夫。でもなんで?写真に写るとどうなるの?」

(昔から写真は魂を吸い取られるって言うでしょ?あなたの場合はもし写ってしまうと・・・・もう現代に戻れなくなってしまいます)

「えーーーーーーっ?そんな大事な事、なんで今頃言うのよーーーっ」

(ごめんなさい、夏休みだから気をつけて・・・・・・それと・・・・)

「ああ、もう・・・まだ何かあるの?」

(この夏休みが終わる前に、時空を超えて現代に帰りましょう・・・・・)

「えーーーーーーーーーーっ」

                        つづく

作者より;ポチ、セリフ長すぎ。それに大事な事さらっと言い過ぎやし。あんずちゃん、混乱するやん。

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コメント

蝉の話…。
ジーンときました。ううっ。crying
人生、長さより質よね。

並木君は、そりゃあ手術の跡があるから…。!
それはマジBJじゃんっ!

でもなんでかな?
実は髪の毛じゃなくて皮膚の一部とか…。
ホラーかっ!

一人ぼけツッコミでしたぁ。

ごめんなさ~いっ!

投稿: あかつき涼 | 2009年7月11日 (土) 16時07分

>あかつき 涼さま

土曜日は暑かったですね。
蝉もそろそろ出てきてますね・・・。

ブラック・ジャック(笑)並木くんをそろそろちょっと登場させたいのですが、今は色々考えています。

今回の見出し、ちょっと変えさせていただきますよ~( ̄◆ ̄;)誰も見てないから大丈夫ね~きっとね~

投稿: 美月 | 2009年7月12日 (日) 00時40分

並木君は、床屋に行くのが面倒でロン毛になっていた…とか?
普通に「おしゃれ」だった…とか?
写真に写れないのは残念ですよね。
遺品の整理してて、昔の写真に自分が写ってたら
なんか笑っちゃうのにな。

投稿: 大田分 | 2009年7月12日 (日) 01時39分

>大田分さんへ

並木くんについては・・・色々な説がありますが・・・あはは( ̄ー+ ̄)
性格付けがほとんど出来ていないので、ちょっと困っています。

そうなんです、この「写真」っていうのは重要なポイントになりうる箇所なんだけど、もし遺品の整理してて、自分が写ってたらビックリしますよね?まあ、たいていの場合は似てるってことで片付けられるんだけど。まあ、ほくろが同じ場所とか、傷があるとか?でも、そこまで書けないところが・・頭が単純やから、そしたら未来が変わるんじゃないかとか、自分の頭の中で整理できんとです(新キャラ?ヒロシ?)

投稿: 美月 | 2009年7月12日 (日) 10時40分

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