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祖父恋 14・「京介のバカッ」

 私は家に戻った。下の和室で鶴代さんと話していたら、しばらくして京介くんも家に戻ってきた。今日は随分早いんだ。

「あら、京介、おかえりぃ」鶴代さんが言った。

京介くんは「ただいま」とだけ言って2階に上がってしまった。私の方は全く見ていない。何か怒っているみたいだった。

                          

         

                    ☆

今日学校で京介くんが話し掛けてくれたのに。私ったら、逃げちゃって。京介くんもきっと気を悪くしたかなあ。

でも今日は多喜子さんと並木くんに元気をもらったので、今なら少し素直になって話せそうな気がした。そう、今なら・・・。善は急げっ~思い立ったが吉日だ~!

私は急いで2階に上がり、京介くんの部屋の前に立って、障子の外から声をかけた。

「京介くん・・・・」すると、すぐに声がした。

「今、着替え中。ちょっと待って」

「うん・・・・」私は2階の窓から外を眺めた。すっかり夏の空・・・隣の神社の蝉の声が聞こえる。

少しだけ廊下で待っていたら、着替えを済ませた京介くんが出てきた。私の方をまっすぐに見ている・・その視線を感じてちょっと気持ちがひるみそうになった。

「あ・・・あのぅ・・・・」私が下を向いていると、京介くんがポンポンと頭を叩いた。

「なあ、隣の神社行こっか・・・ポチの散歩ついでに」そう言って、笑った。爽やかな笑顔がきらきら眩しく見えた。そうなんだ・・・そうなんだ・・・・この笑顔。私が大好きな笑顔なんだ。笑うと、ぱっと花が咲いたようになる・・・この笑顔・・・・記憶の中で、今のおじいちゃんの笑顔と重なる。そう・・・・おじいちゃんの笑顔はずっと変わらなかったんだ。

「おいっ、・・何ぼーーっとしてるんだ・・・さあ、行くぞっ」京介くんは笑いながら、

「用意、ドン」と言うと、先に階段を駆け下りて言った。

私もそれについて行った。

                   ☆

神社の夕方はちょっとだけ寂しい感じがする。歩いていると、家々で蚊取り線香を焚いている香りが漂ってくる。ポチは一人でウロウロとその辺を歩き回っている。時々、電柱におしっこをしながら・・・。やっぱ、その辺は犬なんだ・・・ちょっとおかしかった。

京介くんと私は並んで、神社にある御影石の長椅子に腰を下ろした。

「なあ、あんず・・・まだこないだの水着のこと、怒ってる?」

「ううん・・・」私は首を横に振った。

「じゃあ、なんか俺お前に嫌な事・・・・してる?」

「ううん・・・・」

「さっき、並木と一緒に歩いてたけど・・・・」

「見てたの?」

「ああ・・・」京介くんはちょっと、遠い空の方を見ていた。夏の空は白い雲の線がはっきりしていた。

私だって、言えるものなら言いたいよ。私、あなたの孫なんです。でも・・・どうしようもなく、あなたに惹かれるんです。それってやっぱりいけないこと?

それに・・・・もうすぐ、お別れ・・・・。私は自分の世界に帰らなきゃいけないの。

                  ☆

「あんず、並木のこと好きなのか?

「はっ?」ビックリした。突然、何を聞くの?でも京介くんは真面目な顔で聞いていた。

「・・・・・・話せよ。ちゃんと・・・並木に想い伝えろよ・・・な・・・・」京介くんはくるっと背中を向けて歩き出した。

違うよーーーーっ。違うよーーーっ。なんで?なんでそうなるの?

押し寄せてくるような私の悲しみには気付くことなく、京介くんがポチを連れて、歩いて行った。

「バカっ。バカバカバカーーーーーーッ。京介の大バカーーーーーっ」私は叫んだ。

京介くんが、立ち止まった。

                             つづく

                          

         

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祖父恋(そふこい)」カテゴリの記事

コメント

ありゃりゃ…。
京介くんはすっかり誤解を?
でも、切ないですね~(。>0<。)
あんずちゃんは、本心を言えないしsweat01
それにきっと京介くんもあんずちゃんが好きなのにねweep
美月さんっ、いったいふたりをどーするの~っっhappy02

投稿: 百瀬朝海 | 2009年7月13日 (月) 12時02分

>百瀬朝海さま

えへへ・・ここは一応誤解を。でもそうなんです。二人はほんとは・・・。さあ、二人をどうしましょう?でも・・きっと悪いようにはならないと思いますけどconfident
さあ、どうしましょう???

百瀬さんの方も、めっちゃいい感じでheart04読者はハラハラしますねえ・・ほんとhappy02

投稿: 美月 | 2009年7月13日 (月) 12時36分

じらされてますぅ!さてどうなるのかっ!smile
京介くん、あなた裏腹なこと言ってませんか?どうなのっ!?

投稿: あかつき涼 | 2009年7月13日 (月) 12時40分

>あかつき 涼さま

京介くん、裏腹ですっ!!
そう・・彼もまた・・・でも、よく考えてみたら、彼には恋に躊躇する理由はない?

今回もまた早送りできる回でした。ごめんなさいーーcoldsweats01

投稿: 美月 | 2009年7月13日 (月) 20時04分

あんこ!「孫だからいけない」んじゃなくて
「未来から来た」からだよ!
あ‥でも、宮部みゆきの話に過去で生活して戦争で亡くなったって人、いたなあ‥。
あんこ、「あり」かも?
いいやいやいや‥ないないっ!
いや待て!美月さんが、大技に出るかも!

投稿: 大田分 | 2009年7月13日 (月) 20時42分

>大田分先生

ああ~またまたなんかすごくいいセリフ出ましたっ!!「孫だからいけない」んじゃないんですか~?
「あり」ですか?「行きます」か?
でも、今回一応ひねりを用意していますので、
大技ではないかも知れませんけども・・・
あんまり言うと、すぐにばれてしまうので・・
みんな名探偵やしhappy02

コメント、すっげーー参考になります~っ。ありがと♪

投稿: 美月 | 2009年7月13日 (月) 20時52分

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