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祖父恋 8・図書館にて

 七夕の日になった。学校にも少しだけ慣れて期末試験が始まっていた。私は本当は高校2年生なので勉強にはほとんど苦労はしなかった。学校から帰るとまだ午後の早い時間だったので、今日こそポチとゆっくりしゃべりたくて、庭に出てみた。

せっかくの七夕なのに、空にはねずみ色の雲が重く広がっていて、いつ夕立がきてもおかしくないような状況だった。

                  ☆

「ポチ・・・・ねえ、いるんでしょ?」私はポチの小屋の前でポチを呼んでみた。ポチは眠そうにあくびをしながら、トボトボと小屋から出てきた。

(なんですか?あんず、久しぶりですね・・・)

「久しぶりじゃないでしょ?なかなかゆっくり話すチャンスがないのよ。いっつも何か邪魔が入って」

(でも、ちゃんとやってるじゃないですか?学校にもちゃんと行ってるし、授業もちゃんといけてるでしょう?・・・・やっぱり1年生にしといてよかったでしょ?)

「じゃあ、あんたがおじいちゃんの高校1年生時代を選んだのは、私のため?」私はかなり怪しい目つきでポチを見た。きっとそんな理由ではないだろうから。

(ふふふ・・・・まあそれだけではないですけどね。まあ、いつかわかる時が来るでしょう)

「いつか?はあ・・・」私はため息をついた。今、私はちょっと悩んでいた。それはブラック・ジャックこと、並木研一のことだった。実際のところ、なんでこんなに並木研一を見てしまうのか、自分でもよくわからなかったのだ。いつも前髪で顔半分を覆っているし、はっきり顔も見たことないのに・・・・。そう「匂い」。多分これは匂いなんだと思う。彼の持つ匂いにひきつけられてしまうんだと思う。

 でも私はこの時代で誰かに恋する事などありえない。って言うかしてはいけないそう思う。

「ねえ、ポチ・・・・あのさあ、私ね・・・・・いや、なんでもない」やっぱりやめた。ポチにこんな事を相談しても仕方ない。あ、でも多喜子さんの事は聞いてみたい・・・そう思ったとき、また後ろで声がした。

「お前たち、随分仲良しだよね」ああ、京介くんだった。

「仲良し?そうかな・・・」(当たり前でしょっ。私の運命はポチにかかってるんだから・・・。仲良くするしかないんだからね)それにしてもおじいちゃん、なんでいつも急に現れるんだろう。

「ああ、あんこ図書館行くぞ。今日は図書館で一緒に勉強しよう」

「う、うん。ありがとう・・・・」本当は勉強で苦労はしてないんだけど、おじいちゃんがせっかく言ってくれてるから・・・ここは行っとこ。

                   ☆

図書館は家から歩いて10分くらいのところにあった。ここは今(平成時代)は確か建て直して福祉施設になっていた。昔はここに図書館があったのかあ。

それにしても・・・・まあ、なんて言うか・・・素敵。大きな洋館の建物で、床は木で歩くたびにギシギシッと音がした。扇風機の大きいのが一台部屋の中央で回っている。本棚は背が高くて、梯子に上らないと本を見ることができない。それに何より、建物の中は古い本の匂いで溢れていた。そう、あの日タイムスリップした時のおじいちゃんの書斎の匂いと同じ。

天井にはステンドグラスがはめ込まれていて、曇り空でも柔らかい光を感じることができる。昔はこんなにロマンチックな図書館があったんだ。思わず、一人でぼーーっとしてしまった。

「おい、あんこ・・・そんなに図書館が珍しいのかい?」

「ん?そんなことないんだけど・・・いいなあと思って」

「そうか。ま、いいけど・・・勉強するのはこの部屋を出てこっちなんだ。おいでよ」

京介くんのさらさらの後ろ頭を見ながら、ついて行くと、なんと建物の外にコンクリートの床があって、そこにたくさんの木の机と椅子が並んでいた。多分6人ずつは座れるだろうな。もうかなりたくさんの人が勉強していた。高校生もたくさんいた。

「じゃあ、ここ座るぞ」京介くんは一つの机の戸に座った。私も斜め向かいに座った。京介くんは帆布製の白いかばんからノートを取り出すと真面目な顔で言った。

「お前、ちゃんと英語のノート取ってるか?あの先生厳しいだろ」

「うん、取ってるよ」(でもね、おじいちゃん・・・・私本当は高2だし・・・今の高校生がやってる勉強の方がやっぱ難しいみたい。でも私のこと心配してくれるんだね、ありがとう。)

「ねえ、京介くん・・・・」

「え?」京介くんは顔を上げた。うそ、ちょっと赤面してる?

「なんだよ・・・・初めて名前呼んだ?」

「そうだっけ?前にも呼んだことあったでしょ?」

「いや、京介くんは初めてだろ」

「京介くん・・・・・京介くん・・・・・」私はわざと名前を呼びつづけた。おじいちゃんてばおかしい。

「なんだよぉ・・・・・お前、人をからかうなっ」だって、おかしいんだもんっ。

「お邪魔か?」笑っていると、おじいちゃんの横に男の子がやって来た。

「ん?ああ、お前も勉強か?」

えぇーーーーうっそーーーーブラック・ジャック!並木研一だった。なんで??

「ここ、いいか?」並木くんが私の正面に座った。私は思わず下を向いた。

                           つづく

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祖父恋(そふこい)」カテゴリの記事

コメント

帆布製の白いかばん…
それって、〇澤帆布のイメージですか?懐かしいっ!
違ってたらごめんなさいねっ!

京介くんはぁ完全惚れてるねっあんずちゃんにっ。どうする?どうする?( ̄▽ ̄)

並木研一君がどんなキャラか楽しみですっ!

投稿: あかつき涼 | 2009年7月 7日 (火) 17時41分

>あかつき 涼さま

はい、いつも大変ありがたいお言葉、感謝です☆そうですよ、白い帆布製のかばんはあちらのイメージです。これなら昔からありそうでしょ?

おじいちゃん=京介くんは自分の孫だとは夢にも思ってないからねえ・・・まあ、一風変わった、あんずちゃんに惹かれてしまっても不思議ではないわね。でもなあ、並木くんは・・・キャラ、どうしよっかな。まさかの○モキャラ
どうですか?(* ̄ー ̄*)

投稿: 美月 | 2009年7月 7日 (火) 17時53分

確か中学のときのカバンが帆布製の斜めがけでした。あんなのかなあ…。もし違ってたらごめんなさい。でも懐かしいです。

多喜子さんは、やっぱり!
元美少女の孫ってことは、あんずちゃんもやっぱりかわいいんでしょうね。顔みたいなあ…。

並木君、ミステリアスでいいですね。顔隠しキャラは、昔から好きでした…(花形満、OO9、ブラックジャック、キャプテンハーロック、はぁぁ~heart04

投稿: みわっち | 2009年7月 7日 (火) 21時21分

優しいねぇ…京介くん。
そして、積極的?な研一くん。
あんずちゃん…すでにこの世界で2人をとりこに?!(笑)
研一くんのこれからに期待!に1票っ!!smile

投稿: 百瀬朝海 | 2009年7月 7日 (火) 21時51分

>みわっちさんへ

いつも温かいコメントありがとうございます!
多喜子さんはわかりやすかったでしょ?でも、まだ本格的に登場してないので、これからどんなキャラにしようかと考えています。

そうですよね、009もキャプテンハ-ロックもそっかあ、顔隠しキャラですよねえ。そっかそっか。さて並木君の顔は次回明らかになりますよ~ヽ(´▽`)/

投稿: 美月 | 2009年7月 8日 (水) 01時58分

>百瀬朝海さんへ

いつもありがとうございます!励みになりますっup
京介くんはそうですね、優しく・・・並木くんは・・???どうしようかなあ。今すごく迷ってます。でも自分的には冷たくされる方が気になります。うーーん。

あんずちゃん、やはりこの世界では恋をしないほうがいいのだと、自分に言い聞かせて、我慢させますよ。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

投稿: 美月 | 2009年7月 8日 (水) 02時04分

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