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もうひとつの祖父恋 11・最終回 虹の彼方

 (んんん・・・消毒液の匂いがする・・・・。しかも誰かに見られているような) 

目を開けるとここは真っ白い天井の・・・病室のベッドの上だった。ママが私の顔を覗き込んでいたのだった。バチッと視線がぶつかった。

「あんず・・・あんず・・・・よかった」ママは目にいっぱい涙を溜めてうるうるした目で私に抱きついてきた。

「ママ・・・く、苦しいよ」

「ごめん、ごめん」

☆            ☆            ☆

「あんず・・・あなた3日間眠り続けていたんだからねっ」

「へ?そうなん?」どうやら私は眠っていたようだ。そうだ・・・確か川に飛び込んで、そう・・・男の子が川に落ちて・・・それから・・・・眠たくて、眠ったんだっけ・・・。でも、なんか変。なにか大切な事を忘れているような気がする・・・。頭にはもやがかかっているような感じで・・・気持ち悪い。

「ねえ・・・ママ、私・・・救急車でここに運ばれた?」

「ええ、そうよ。川でおぼれていた男の子を助けようとして・・・」

「で、その子は?」

「助かったわよ。あなたが眠っている間もこちらに見えた」

「・・・・そう・・・・・」違う、違う・・・何か忘れてる。あんず、しっかりしろ。

                    ・

                    ・

                    ・ 

お・・・・お・・・・お・・・・・・「おじいちゃんはっ?」私が突然、大きな声を出したのでママはとても驚いたようだった。

「もう・・・なによぉ。おじいちゃんも元気よ。もうすぐここに来るはずよ」

「おじいちゃんは、川に飛び込んだの?」

「川に飛び込んだ?いいえ・・・飛び込んだのはあなただけよ。おじいちゃんはすんでのところで飛び込まなかったそうよ」

そっか、そっか・・・そうだったんだ。おじいちゃんはなんともなかったんだね。よかった。

「ねえ、ママ・・・ママはおじいちゃんに会った?」私がそう聞くとママは笑った。

「おかしなこと聞くわねえ。もちろんよ。おじいちゃんもあなたのこと心配して毎日こっちに来てるわ」そうだったんだ。おじいちゃんも毎日来てくれてるんだ。私は何気に病室の窓から外を眺めた。すると、大きな虹がかかっているのが見えた。

「ママ、虹だ」

「そうね・・・雨が上がったから・・・ああ、そうそう、あんず、そう言えばね、何て言ったかなあ・・・・あなたのクラスメイトの子・・・・毎日ここへお見舞いに来てくれてる子がいるのよ。あなたのボーイフレンドかと思って」ママは急に悪戯っぽい顔をして笑った。

ボーイフレンドね・・・ふふふ。

その時、ドアをノックする音が聞こえた。ママが急いで扉の方へ行った。

するするする・・・・・・ゆっくりと扉が開いた。

その時・・・私の目に二人の人物が飛び込んで来た。

一人は・・・・・白いカッターシャツに黒い学生ズボン。

・・・・・京介くんだった。そしてその横におじいちゃんが立っていた。

「今、そこでばったり会ってね」おじいちゃんが言った。ママは嬉しそうにこっちを見ていた。

「お父さん、あんずの意識が戻ったの」おじいちゃんが私のベッドの側に来た。

「そうか・・・よかった」おじいちゃんはとても嬉しそうに微笑んでくれた。ポチ・・・さすがだね。おじいちゃんそのままだね。ありがとう・・・・。本当にありがとう。私はおじちゃんの顔を見ながら、こみ上げてくるものを押さえられなかった。

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                   ・ 

「あんず・・・・・よかったな」今度は京介くんが私のすぐ側に来た。

「うん、ありがとう。来てくれたんだ・・・・来てくれたんだね」時を超えて、本当に来てくれたんだね。私は京介くんの顔をじっと見た。本当に紛れもなく・・・京介くんだった。京介くんの手には、水晶で出来た犬の形の小さいストラップが握られていた。施餓鬼さんで一緒に買ったもの。

夢じゃないよね。

私の記憶は消されてはいなかった。今までの色んなことが甦ってくる。ポチとの不思議なタイムトラベルのこと。初めて京介くんの家の門の前で会った時のこと・・・・京介くんの家族のこと・・・並木くんのこと、多喜子さんのこと。もしかしたら私はこれからちょっとずつ忘れてしまうかもしれない・・・。でも絶対に忘れたくないこともある。忘れちゃいけないこともある・・・・・。私を守ってくれたたくさんの人・・・。太郎島神社の大神様、ポチ、・・・そして私を導いてくれた不思議な力。

そんな大切な人達のためにも・・・・・これからは京介くんとずっと一緒に今を生きていきたい。絶対に離れないよ。

心からそう思った。

・・・・・窓の外にはまだ虹が見えていた。

                          終わり

作者より;ありがとうございました。この話にまつわる、本編よりきっともっと面白い?言い訳編はまた追々書きたいと思いますので、もう少しお待ちくださいね。今、幼稚園の運動会のために色々準備しています。大きなお仕事の一つがもうすぐ終わりますので。ね。

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祖父恋(そふこい)」カテゴリの記事

コメント

ああ、ハッピーエンドだぁcrying
いつか、これから先の二人の物語も読んでみたいですねっ。
ああ、ポチにも会いたかったなぁ。
言い訳編って。
フフ、期待して待ってますよぉscissors

投稿: あかつき涼 | 2009年9月29日 (火) 21時10分

はああ~、おわっちゃった…。

長い旅が終わってうちに帰ってきたような気分です。

よかったです。素敵な世界につれてって下さってありがとうございました。

投稿: みわっち | 2009年9月29日 (火) 21時59分

>あかつき涼さま

うふふふ・・・ありがとうございます!!
言い訳編にはブログ友達の「小説の神様」って人を登場させようかと考えてるんですよ。

長い事、読んで頂いてありがとうございました。元々ちょっと無理のある設定だったんですけど、
いつも見切り発車なんで。仕方ないですね(笑)

投稿: 美月 | 2009年9月29日 (火) 23時51分

>みわっちさま

長い間読んで頂いて、ほんとにありがとうございました。本当はもっと早くに終わる予定だったのに・・・夏休みやいろんな事をはさんじゃって、秋も深まりつつある今日この頃。
みわっちさんの小説も実はすっごく楽しみだったりしますnote

なんとか、無事に終わる事が出来て、ほっとしています。今は運動会のことで毎日ばたばたですが、ぼちぼちいきたいと思います!!ありがとうございました。

投稿: 美月 | 2009年9月29日 (火) 23時54分

お疲れ様でした。細かい感想は書けずじまいでしたが(いつもゴメンナサイ 涙)、毎回、楽しみに読ませていただいていました。懐かしく切ない恋心と時空を超えるダイナミックな設定がうまくかみあってて、違和感なく、お話がすっと心に入ってきて引きこまれました。

執筆中、リアルなお忙しさもあったようですが、悩んだり、時間を置いて練り直されたり…の成果がすごーく!出てる気がします。小説の神様(ブログの神様)はすごく的確!なアドバイスをされてて、それを美月さんが素直な気持ちで受け止められているようで…いいお友達ですね。そうやって高めあえるなんて素敵です。

ってな?感じで感想が硬くて(緊張するから 笑)ヘタなんで(トホホ 涙)いつも読み逃げなんです。ごめんなさいね。でも次回も楽しみにしています。まずはその前の運動会が無事終わりますように。

投稿: | 2009年9月30日 (水) 10時01分

>柊さま

温かいお言葉ありがとうございます!!本当に読ませてもらって、嬉しかった。
いつも思いつきで見切り発車してしまいますので、失敗も数知れずですが、それでも読んで下さる方がいて、本当に励まされながら書いてる感じです。
今年の運動会、わが家は幼稚園は最後になります。
思えば長かったです。
お天気が心配ですが・・・なんとか無事に終わって欲しいなあと思っています。

柊さんはミヒャエル・ゾーヴァ展に行かれたのですね。うらやましいです。しかも素敵なお着物でheart02私も着付け習いたいです☆

ありがとうございました!!!

投稿: 美月 | 2009年9月30日 (水) 15時32分

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