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八坂物語 9・あんた、将来どうすんねん?

伯母のマンション。

バイトが終わってから、いつもこのマンションで綾は祖母と一緒に
ご飯を食べて、お風呂に入ってから祖母宅に帰る。

そんな日々が続いていた。

祖母の認知症はゆっくり・・・しかし確実に進行していた。

                        ☆

ある夜、伯母が綾に言った。

「綾ちゃん、あんた将来どうすんねん?

公務員試験受けなはいな」



「え?」



綾は公務員試験には全く興味がなかった。



毎日、9時に仕事に入り、5時まで働く。
その時にはそんなことは考えられなかった。

伯母は公務員。
当時まだ珍しかった女性の課長だったが
毎日のように仕事を家に持ち帰り、
ころころ変わる制度に頭を抱えていたし、綾もたまに仕事を手伝わされた。



叔父は高校の教師をしていた。







「伯母ちゃん、私大学行きたいし。
今のバイトは夏までのつもりやねん。

予備校の試験受けてもええかな?」



「・・・・・そうか。ええよ。あんたがしたいようにしたらええ」





正直なところ、綾にもまだ本当に自分が何をしたいのかということは
分かっていなかった。

でも漠然としたいことはあったし、まだ勉強は続けたかった。




                        ・

「ほな、おばあちゃんと一緒に帰るわ。ありがと。おやすみ・・・」


「はあ、また明日な。バイトはどうや?」

「まあまあ、頑張っとるよ」

「そうか」

綾は伯母のマンションを後にした。

                         ・

社員さん達が旅行から帰って来たのは、翌日のことだった。

休憩時間、三木ちゃんは綾に言った。

「綾ちゃん、一緒にご飯行かへん?うちもこれから休憩やねん」

「うん・・・・」

二人で寺町の中にある喫茶店に入った。


二人ともハンバーグランチを注文した。




「あのなあ・・・・ここの社員旅行なあ・・・・ほんまにもうっ」

三木ちゃんは珍しくプンプンしながら言った。



「夜がサイアク。無法地帯みたいな?なんでもありやねんもん」

「へ・・・三木ちゃん、ちょっと意味わからんねんけど・・・」

「聞きたいん?」

綾はゴクリと唾を飲み込んだ。

「う・・・・うう・・・・ん・・・・なんか聞くのが怖いな」

「そうやろ」

三木ちゃんは運ばれて来たアツアツのハンバーグにフォークを突き刺した。


「森田さん・・・・・・谷さんのこと絶対に好きやな。あれは」


「もうっ、三木ちゃん分かるように説明してえな」

三木ちゃんは、ちょっと笑いながらハンバーグを口に放り込んだ。

三木ちゃんの話はこうだった。
ここの社員旅行というのは、京都の本店、祇園店の人、本社工場の人など
たくさんの社員さんが参加するらしい。

綾達の店からは、三木ちゃん、森田さん、谷さん、清水さんというおじいちゃん、
店長他に二人ほど、社員さんが参加したそうだ。

50人くらいはいたそうだ。

マイクロバスを貸し切って、伊勢まで行くのだが・・・
京都からバスは出発した時点で、酒盛りが始まり・・・
一部の人はすでにべロンべロンで・・・・

旅館に着いてすぐに、寝る人もいるという・・・・

綾は眉をしかめた。


「それで?」

「ああ、それで・・・・」

綾は谷さんの様子を聞きたかった。

あの、いつも涼しげで紳士的な谷さんも変わり果てた姿をしていたり
するのだろうか。

「三木ちゃん・・・・」綾はまっすぐに三木ちゃんを見た。

三木ちゃんは綾の気持ちを察したらしく、谷さんの話を始めた。

「谷さんはな・・・酔っ払わはらへんかった」


ほっ・・・綾は少しほっとした。

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コメント

三木ちゃん、早く話して~~~~っ!
わたしも焦れ焦れしながら
次を待ってますからねっ♪

投稿: あかつき涼 | 2014年10月26日 (日) 22時29分

>あかつき涼さん

ありゃ、ありがとうございます!

三木ちゃんすぐに話してくれますよ~
ありがとうございます。またそちらにも
お邪魔致します。

投稿: 美月 | 2014年10月26日 (日) 23時41分

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