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八坂物語 6・三木ちゃん、なんかようわからんオーラが半端ない

本当に、ここのお土産屋に来るまで、綾は知らないことが多かった。

幼稚園から高校を卒業するまで「共学畑」で育った。

弟が二人もいたし、いつも「男」という生き物がいるのは
当然の環境だった。

にもかかわらず、ここに来て初めてこの世の中の秘密めいた世界の
存在を知ることになったのだ。


18歳という年齢?

年齢はそんなに関係ないことだったのかもしれないし
関係あるのかもしれない。

                        ☆


森田さんから「明日、旅館福寿に行って」と言われた後、
しばらく三木ちゃんと仕事をしながら話していた。

その日の夜は、土産物を買いに来るお客さんも多くなかったので、
売れたお土産を入れる小さい袋を糊づけしたり、
試食用のお菓子を点検したり・・・そんなことをしていた。



「あのなあ・・・綾ちゃんはなんも知らんねんな」

「何が?」




(ちょっと割愛)


ここに書くには忍びない会話が続いた。

そんなこと、今まで聞いたこともなければ、誰も教えてくれなかった。

って言うか、それを普通に話してくれる三木ちゃんすごい!
綾は正直にそう思った。



綾は目を丸くして聞いていた。
でもやはりそれは遠い世界の話だった。

18歳。



この世界の隔たりがすごい。




                        ☆


翌日の夕方から綾と三木ちゃんと二人で祇園の旅館福寿に行くことになっていた。

お土産屋から祇園までは歩いても15分くらいで着ける。


二人とも徒歩で四条通を歩いた。


この日、三木ちゃんはオレンジ色が基調のフルーツ柄のピタッとした
Tシャツに白いミニスカートという格好だった。

足元は白いヒールの高めのサンダル。

三木ちゃんの雰囲気について言うならば・・・

色白。髪の毛の色は茶色に染めていた。

中肉中背でとても柔らかそうな肌。

顔にはニキビの跡が少しだけあるが、
薄目にお化粧をしていて、唇はいつもグロスで
キラキラしていた。

その唇はいつも半開きだった。

目は可愛らしい二重で、垂れ目。

そして、何よりも体全体からなにか・・・

とろんとしたような甘いお菓子のような、
何かが出ていたし、それは触ると手にスライムのように
吸いつく感じがした。



綾はと言うと、その日も黒っぽいスカートに
紫系の植物模様のカットソーを着ていた。

三木ちゃんを甘いフルーツだとすると、
綾は堅いドングリの実のような感じだった。



                        ・

夕方の河原町は混んでいた。

突然、三木ちゃんが誰かに腕を掴まれた。

「きゃっ」

「どうした?」綾は三木ちゃんの方を見た。



三木ちゃんは黒いスーツを来た、金髪のお兄さん二人組の
片方に腕を掴まれていたのだった。




「ス・カ・ウ・トしちゃう」
そのお兄さんは気持ち悪い声でそう言った。

三木ちゃんは腕を掴まれたまま。



「君、うちの店で働かない?めちゃめちゃ稼げるで」

三木ちゃんは笑っている。



全く訳が分からない。綾はその場にただ立っていた。

三木ちゃんは大丈夫なのだろうか。

この金髪で黒いスーツの二人は何者?

その時三木ちゃんが言った。

「ちょっと急いでるし~また今度」


腕を振り解いた。

でも、この二人組もなかなか諦めない。
三木ちゃんに名刺を渡すと

「連絡ちょうだい。俺らこの店やから・・・・」

と言って、私たちを見送った。



「三木ちゃん、あの人は何?」

「ああ、あれ・・・水商売のスカウトの人」



「水商売?」

「うん、夜の仕事ね。もう・・・いっつもやねん。
道歩いてたら、いっつも声掛けられるねん・・・・」


三木ちゃんはさらりと言った。

そうか・・・そんなことがあるんだな、綾は思った。


ただ、道を歩いているだけで水商売のお店にスカウトされるような、
そんなことも。

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