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八坂物語 10・お酒の席で

                       ☆

「なあ、谷さん酔ってはらへんのに・・・なんかあったん?」


「うん・・・」三木ちゃんは続けた。



大宴会場で、夕飯を取ることになった。

温泉に入って来た人も多く、旅館の浴衣姿の人も多かったという。

食事は結構量があって、一人用のお鍋まであったという。


食事の後、飲みたい人は残り、
しゃべりたい人は喫茶店に行ったり、
お土産を見たり、自由に過ごすことが出来る。

しかし、新入社員はお酒の席には強制的に残り、
社員さんの相手をしなければいけないという
暗黙のルールの様なものがある。

未成年の新入社員に無理やりお酒を飲ませたりということは
ないらしいのだが・・・・

その代わり、色々といじられたりするらしい。

「危ないことは無かったんよね? まさかね」
綾は聞いた。

「そのまさかやねん。・・・あーいやや・・・思い出すだけでぞっとするわ。

綾ちゃん、さっきからあんまり食べてへんやん。はよ食べな休憩時間
終わってしまうよ」


「あ」
三木ちゃんの話に夢中になるあまり、口を動かすのをすっかり忘れていたのだった。


                         ・

 

                         ・

「うちの危ない話はまた今度でええわ。それより森田さんと谷さんの話。

「う、うん」綾は高速でうなずいた。



「森田さん、離婚したはるねんて。


まあ、それでな・・・・」三木ちゃんはちょっと言いにくそうにした。



「・・・・なに?」

「聞きたい?」


「うん」

                         ・



森田さん、結構飲んではったし、なんかやたら谷さんにベタベタしてたんやけどな、

他の店の社員さんもその場にやはるやん。


それで、谷さんが森田さんを散歩に連れ出したん。



「へえ・・・」 その時綾の心にふと疑問が湧いた。


「三木ちゃんはなんでそんなによう知ってるん?」



「そりゃ、うちもその場におったからやん。実はな・・・

よその店の社員の・・・・オジサンに・・・・・無理やり・・・・」



「無理やり?」



「連れて行かれそうになったのを、谷さんが助けてくれはってん。

まあ、それでさ・・・森田さんと一緒に三人で散歩に行くことになったんやけどさ」




「ふうん・・・・んでもさ、森田さんの反応は?」綾は思わず笑いそうになった。

「もう、綾ちゃんなんで笑ってんの。森田さんの反応?

もちろん・・・お邪魔虫って顔されたよ」



綾はそこが喫茶店だということも忘れて、思わず笑ってしまった。



「ホンマに酔うてはったん?」


「さあな」三木ちゃんもとぼけた顔をして笑った。



             

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