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八坂物語 17・大人の事情

「今日はありがとうございました」

車を降りると、綾は深々と頭を下げた。

「明日、よろしぅ・・・・ほな。 ああ、気いつけて帰りや」

「はい、ありがとうございます」

谷さんの車は去って行った。
この前のように車が見えなくなるまで見送った。

                        ☆


ふぅ~なんか長い一日だった・・・

綾は坂道を下り、伯母のマンションに向かった。
とりあえず、お風呂だけは入らないと。



「こんばんは」

マンションの重たい鉄の扉を開けると、伯母がリビングで新聞を読んでいた。


「ああ、綾ちゃん・・・お帰り。今日は遅いやんか」

「うん。ちょっとな・・・五条の旅館入ってて・・・
ちょっと遅なった。 おばあちゃんは?」


「おばあちゃんな、さっき一人で帰りはったわ。
今日はだいぶ調子良かったみたいや」


「・・・・・そうなん」



「あんた、ご飯は?」


「まだやけど・・・・・なんかある?」


「ああ、食べよし」


「ありがとぅ」


ここは毎日、玄米。

超がつくほどの健康マニアの伯母は、野菜たっぷりの
おかずを出してくれた。


「ごちそうさまでした」

綾は風呂に入った。あまり遅くならないうちに帰らなければならない。



                        ・

                      
                          

綾は毎日伯母のマンションに寄って夕飯を食べさせてもらい、
お風呂に入って祖母の家に帰る・・・そんな生活をしていた。

高校生の時からだから今は何も思わない。

何も感じない。


けれども、ヒステリックで時々何が原因かもわからず、逆鱗に触れて
叱られることがある・・・

そんな伯母の顔色を窺うのは日課のようになっていた・・・・・。

今日は大丈夫そうでよかった。

「おやすみ」




家に帰って、祖母の様子を確認してから・・・・自分の部屋に上がった綾は
布団を敷いて、仰向けに寝転んだ。

さっき、ホテルの前で見た光景を思い出した。



ポニーテールはしていなかったが、あれは確かにさっきまで一緒に仕事をしていた
佐藤さんだった。


そして、隣を歩いていたのは・・・・店長だった。

あのポマードできっちり固めている・・・頭。



二人はホテルの暗い入り口に吸い込まれていった。



やはり、みんなが噂しているように、佐藤さんは店長の愛人なのだろうか。




明日も一緒に五条の秀峰楼に入る予定なのに・・・・。

何かすっきりしない、もやもやした感じだった。
明日佐藤さんに会えばまた何か分かることがあるかもしれない。
ないかもしれない。

自分が見たことは誰にも言ってはいけないことだ。






色んな事を考えているうちにいつしか深い眠りに落ちて行った。



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