« 私小説ならぬほぼ実話なり・・・ | トップページ | 八坂物語 19・あなたの方が下品 »

八坂物語 18・軽蔑する?わたしのこと

翌日綾は佐藤さんと一緒に再び秀峰楼に入ることになっていた。

またいつものように、玄関でお出迎えを済ませた後、売店に入って準備をした。

佐藤さんはいつもと全く変わりなかった。

しかし・・・綾は昨夜見てはいけない物を見てしまったような気がして
少し気まずかったのだが。

                        ☆

この日、綾はたまたま成り行きで前日とは反対側の場所にいた。

それは昨日佐藤さんが入っていた場所だった。



修学旅行生は昨日とは全く逆で、今日は綾に喋りかけてくる。

昨日あんなに孤独だったのは一体なんだったのか。

気のせいだったのか。

でもそんなことよりも昨日の夜に見たことの方が気になっていた。



あっという間に時間は過ぎて、お土産販売の時間は終わった。




それから、佐藤さんと二人でレジを締めて・・・・・帰ろうとしていたところ・・・・。



「ね、綾ちゃん・・・・」佐藤さんが言った。


「はい」


でも、綾は佐藤さんの顔をなんとなくまっすぐに見ることが出来ないでいた。



「綾ちゃん・・・今日はちょっと様子がおかしかった」

「そうですか・・・そんなことないですよ」




「ね、綾ちゃん・・・・私の噂は知ってるんやろ?」

綾は何も答えなかった。




二人は秀峰楼の裏口から出て、川端通りを歩いた。
谷さんには挨拶をして、今日は電車で帰ると告げて。



先に佐藤さんが口を開いた。





「綾ちゃん・・・・ほんまやねん」

「へ?」



「お付き合いしてるっていうのは・・・ほんまやねん」


「へ?」綾は再び間抜けな声を出してしまった。





佐藤さんは一緒に歩きながら、話してくれた。


佐藤さんの家は少し複雑であること。

お母さんは病気がちで働けないこと。

まだ小さな弟さんがいて、お金が必要なこと・・・。

ここのバイトに来て、店長に声をかけられたこと。


                        ・

                        ・

                        ・


「こんな話をしたのは綾ちゃんだけなんよ」

「なんで私に?」

「さあ、なんとなく」

佐藤さんは言った。

「どっちみに、もうすぐここのバイトは辞めなあかんし」

「そうなんですか・・・・辞めはるんですか」


「軽蔑する?私のこと」


「しません」




|

« 私小説ならぬほぼ実話なり・・・ | トップページ | 八坂物語 19・あなたの方が下品 »

八坂物語」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/401181/58010664

この記事へのトラックバック一覧です: 八坂物語 18・軽蔑する?わたしのこと:

« 私小説ならぬほぼ実話なり・・・ | トップページ | 八坂物語 19・あなたの方が下品 »