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変態小説、ある意味   1・電車にて

 私にはちょっと不登校の娘がいる。彼女ももうすぐ17歳。

高校二年生。

まあ、それはいいのだ。

今回の話は電車の中で起きた話。私の事を知ってもらういい機会に
なるかもしれない。

                       ☆

最近の気候はちょっと激しい。
10月なら秋晴れで少し涼しくて、京都など行楽客でごった返す時期ではないか。

この日は暑かった。

私は電車に乗っていた。

ただ、ぼーっと、目的地に向かって。



ある時ふとアナウンスが耳に入った。

いつもと違う。

男性の声・・・・多分若そう。


普段なら電車のアナウンスなど全く気にならない。

あまりにもおかしなクセのある人なら気になるけど。

普通は次の停車駅を確認するだけの「機械的」なモノ。



でも違ったのだ。


「次はおおつ、おおつです」

(え、なんか今日のアナウンス・・・違う)


どこが違うんだろうと少しの間考えた。

アナウンスが優しいのだ。

まるで恋人に語りかけているよう。

多分乗客の誰も気にしてはいないだろう・・・・。

そのアナウンスにどこもおかしいところはないのだから。

ただ、ものすごく優しいのだ。

座席に座っていた私は、思わずアナウンスの声に耳を澄ませた。



おおつ駅に到着すると、その駅の駅員がホームに居て、
ハンドマイクで語っていた。

「到着の電車は新快速の○○行きです。
電車とホームの間が広くなっているところがあります。
ご注意ください。

到着の電車は新快速○○行きです。・・・・・・・」

その声の粗いこと。案内の機械的なこと。


電車が駅を出ると、またあの声が聞こえた。


「この電車は新快速○○行きです。次の停車駅は・・・・・・です」



この語尾の「です」が他の人と違うんだな。

(です、がちょっとゆっくりで、声が上がるから乗客に語りかけているように
聞こえるんやんな)

私が降りるまで駅が残り3つになった。


私はその声の主の顔を見てみたくなった。

今までそんなことを思った事は一度もないし、興味を持った事もない。

そもそもJRの駅員に個人的に興味はない。

でも今日は・・・・・。

この優しいアナウンスをする声の主の顔を一目拝みたくなった。

こんな事を思う自分はちょっとおかしいかなと思いつつ。


自分が乗っている車両は前から4両目くらいだった。
新快速は12両編成だ。


私は席に座ったまま考えた。

どんな人がこんな今まで聞いた事もないようなアナウンスをするのだろうか。

でも、今日電車に乗って、ささやかだけどちょっと面白い事がありました
くらいでええんちゃうん。

こんなアナウンスを聞きました・・・これだけでも一つ話は書けそうだ。

でも・・・もう一生このアナウンスの人の電車に乗ることはないかも
知れない。

一体どんな人なのか顔だけ見てもいいのではないか。


迷った。

ここで動かずにじっとしていたら、この話は終わる。
顔など知らないままでいいのではないのか。

ここで動くとちょっとおかしい人だ。


動くことと動かないこと・・・・・・その狭間で私は揺れた。

決めた。




私は降りる一つ手前の駅で、席を立った。

なるべく自然に(見えるように)


そして一番前の車両に向かった。


辿り着いた。

「えっ」

運転士らしき人物は黒ぶちメガネをかけた、全く特徴のない
顔をしていた。遠くの斜め後ろからだからわからない。

それ以前に、運転士は喋ってない。

一人で忙しそうに安全確認をしたり、運転をしている。当たり前だ。



車内に優しい声は聞こえて来た。

「次は○○です」



もしかして、最後尾に乗っている人。

自分でも可笑しくなって笑えて来た。

(なにやってんの・・・自分)

目的地に着いた私は当たり前のように自分の降りる駅で降りた・・・・。


電車が駅を出て行った。


私はエスカレーターに乗るために少しの間ホームに居た。


さっき乗っていた電車の最後尾が見えた。


その時一瞬見えた。




恐らくあの声の主・・・・であろう。

顔半分。

でも、あの声程はどんな顔だったのか正直思い出せない。

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コメント

美月さん

その変態は声フェチに対して?
それとも顔をみたい執着に対して?
どっちもかな。。?笑
声はとても重要ですね。
コールセンターの女性の声が好みだと、
ついつい話しを引き延ばしてしまう。。苦笑
そらうみの場合、アノ時の声も大事です。。

投稿: そらうみ | 2016年10月21日 (金) 17時05分

>そらうみさん

お久しぶりです。元気でしたか??
ちょっと心配しました(笑)

うーん、そんなにさらっと変態って言うんですね。
声フェチかな・・。
でも、この話の場合は、声の主を見てみたいことに対する・・・つまり後者ですね。

投稿: 美月 | 2016年10月21日 (金) 20時07分

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